ブラジリアンクイルウォートという水草を入手しました.1株550円也.
やすい.いや,どう考えても安すぎます.
ミズニラというのは実に増やしにくい水草で,滅多なことでは株別れしないので基本的には胞子を蒔くしかありません.胞子→前葉体→幼植物と育っていき,数年かけて親植物になります.日本産のミズニラですら狙って栽培しない限り滅多に繁殖しません.よく似た草姿のホシクサがどんどん種を付けて次々発芽し急激に育ってあっという間に何百株,何千株になってしまい,遂には育てる作業より間引いて捨てる作業がメインになってしまうのとは大違いです.
それが…
550円ですか?
ちょっと耳を疑いますよね.ブリクサ・ロングリーフと同価格帯です.
ブリクサ・ロングリーフもまあマルミスブタですから,よく増える水草ですね.
こちらではほとんど同じ水草のスブタ(Blyxa echinosperma)を育てていますがこちらは種子を何百となくつけ,いったん軽く干してから水を張るとうじゃうじゃと生えてきて,条件が整えば3か月で高さ15㎝くらいの良く売られるサイズになります.
さて...こいつら一体どうやって生産されてる
のやら.
と思いましたら耳寄りな情報を見かけまして.
レヨンベールアクアさんによればミズニラsp ブラジル サウスサイド産は株わけでふやせるっぽいというのです.
んー….株わけといっても外科手術みたいにぶった切って復活してくるとかそういう奴かもしれませんが…(Youtubeでホシクサを切り刻んでる動画とか出てきますが,やめて――痛そう痛そう痛そうとなりますね.本当にあれでいいんでしょうか...ダメな気しかしません).
んー…
ん?
でもそんなのなんか聞き覚えあるな,となったわけですね.
そうそうこいつ.
ブラジルのミズニラ類でもたとえばIsoetes serracarajensisでは株元に無性芽を作ることが知られています(たとえばPereira, J. B., Arruda, A. J., & Salino, A. (2017). Flora of the cangas of Serra dos Carajás, Pará, Brazil: Isoetaceae. Rodriguésia, 68, 853-857.).こういう種なら安価にどんどん増やすことができるかもしれません!
と思って株元を見てみたのですが,無性芽ないじゃん.
んー‥‥
育ててみながらのお楽しみですね.出てきたら嬉しいなあ.
胞子に関してはひとまず明日以降に採取して確認したいところです.うーん,大胞子が網目状じゃないといいなあ…南米産のIsoetesで大胞子が網目状のものは種間の違いが明確化されておらず,”desperate need of revision"なのです(Pereira, J. B., Giulietti, A. M., Pott, V. J., & Watanabe, M. T. (2019). Rediscovering two Isoetes species in the Brazilian Amazon and Cerrado after 167 years. PhytoKeys, 135, 105.).