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2023年、最も注目されるべき水草30種ランキング (2023年水草アワード Top30)

2022~2023年は様々な水草が輸入された”当たり年”だったように思います。

2013年ころから約10年にわたって新しい水草がほとんど入荷しない時代が続いてきましたが、ようやく雪解けが見えてきた感があって大変喜ばしいことです。

今回は、そんな2023年で特に印象に残った水草を、その理由を含めて紹介していきます。

*かれっくすさんとのスペースでも同じ話をしましたが、重複するものの紹介を飛ばした都合上、順位がやや前後しています。また、本記事では「アクアリウム・園芸での利用可能性」という切り口でみているので、自己満足な日本産種は除外しました。

30位 ムジナモ Aldrovanda vesiculosa

今年は朝ドラ 「らんまん」で取り上げられたり、石川県で新産地が発見されたりとニュースの多い一年でした。観賞魚系問屋に何回も入荷があったり、キヤッセ羽生での販売コーナーが拡大され、生植物(時にはタネまで⁉)が販売されたりと、いままで「欲しくても手に入らない」状態から一気に入手しやすくなった感があります。

 

29位 ゾステレア ドゥビア Heteranthera dubia

なにぶんゾステレアは元の人気がほぼゼロ(泣)なだけに、「売れたという報告があるだけで」注目度の動きを微分してみればランクインすべきでしょう。(厄介ファンが屁理屈こねてるだけとも言います)今年はなんと問屋からのリリースもあったのが注目ポイントです。いったん慣らしてしまえば非常に適応幅が広く、屋外鉢ではよく開花して綺麗なので今後に期待できそうです。

 

28位 ヒドロトリックス ガードネリー Heteranthera gardneri

去年に引き続き、今年も1回だけごく僅かながらも流通がありました。極めて珍妙なミズアオイ科の水草ですが、栽培にかなり癖があるのか一年以上市場に流れ続けることはほぼ無いように思います。私も栽培が苦手なので、とにかく種を維持することを目標に頑張らねばと思っています…。こういうものは、作っているファームが止めたらそれきりになってしまうのが恐ろしいですね。

 

27位 オオササエビモ Potamogeton x anguillanus

今年は若干数名がポタモゲトンにハマったためか、ポタモゲトンの注目度がかつてないほど上がりました。GEXレイアウトコンテストではオオササエビモを主役に沿えたレイアウトがかなり良い成績を収めるなど、大躍進した感があります。(しかも私が渡した株)オオササエビモにもヒロハノエビモを母とするものとササバモを母とするもので見た目にも2型があるので、そのあたりも今後注目されていくのかなあとおもったりします。(あとはオオササエビモはよっぽど採集されても減らないほどのバイオマスがあるので個人的にはそこが大きいですね…希少種が流行ってしまうのは特に国産種においては避けたいものです。)あとは手前味噌ですが今年新産地をみつけられて嬉しかったです。

 

26位 ミクロカルパエア ミニマ Microcarpaea minima

インディアンクラッスラの這わないデカいバージョン。というと何がいいのかまったくわかりませんが、とにかく上に伸びて綺麗な茂みを作ることができ、かつ「全く赤くならない」という非常にレイアウト向きの水草です。輸入されてきた時から草体も花も妙に大きく、「ナニコレ?」という感じでしたが、育ってくるにつれ違いがはっきりしました。これに関して、もしかしてミニマではない種なのでは?とも思いましたが、Microcarpaea属のもう片割れはオーストラリア固有のM. agonisですが、これは糸状の葉をもつのでこれではなさそうです。大型化するのと匍匐しないっぽいのは近そうなのでビンゴか?と思ったんですけどね・・・。なんとなくですがオーストラリア辺りには隠ぺい種が潜んでそうな気がしてます。

 

25位 バコパ サルツマニー パープル var. SG Bacopa salzmannii 

バコパ好きとしては入れておかねばと思いました。バコパ サルツマニーは所謂アラグアイアパープルバコパとして知られてきましたが、今回来たものは異常なまでに紫が強く、水槽でもしっかり紫色を発揮するので今後注目されるでしょう。ただし、従来のアラグアイアパープルバコパは早々に駆逐されてしまう可能性が高いと思うので、そちらの維持のほうもされるべきと思います。

 

24位 スタウロギネ スパチュラータ Staurogyne spathulata

東南アジアからオセアニアにかけて広く分布し、どうもバリエーションが非常に大きな水草のようなのですが、全くと言っていいほど注目されていません。今回スリーパドマ特殊便で相当久しぶりに少数入荷し、実物を見ることができ非常に嬉しかったです。本種は成長がゆっくりで完全に直立して育つことから、ダッチアクアリウム向きの水草と感じます。かといって水中が苦手なわけでもなくしっかり大きくなるのはひじょうにすぐれたポイントです。今後、さまざまなタイプの本種が来る可能性に期待したいです。相当高いコレクション性を秘めうります。

 

23位 ハイグロフィラ セルピラム Hygrophila serpyllum

去年とあるお店で”再発見”した種ですが、今年スリーパドマ特殊便でインドから直輸入されてきたので驚きました。前景に使えるハイグロフィラ、という非常に面白い植物で、カット次第でサイズや盛り上がり方も変えられることからレイアウトへの応用可能性が高いと感じています。来年以降のレイコンでは頻出になるでしょう。

 

22位 リムノフィラ アクアティカ ドワーフ Limnophila sp.

育てやすさ、レイアウトへの使いやすさ、安定した供給が実現した、などという面でみれば2023年最優秀水草で間違いないでしょう。しかし本当に新しいかと言われればそういうわけではなく、以前に入荷したこともある種です。トリミングへの強さ、小型水槽でも問題ないサイズ感、他の水草に準じた軟水管理を好むなどの点からすると、おなじみになっているガイアナドワーフミリオフィラムよりはるかに優秀です。

 

21位 アポノゲトン エキナトゥス? Aponogeton cf. echinatus

スリランカ便でアポノゲトン ナタンスとして入った植物です。花が咲いてみて驚きました。今まで認識されていなかった可能性が大ですが、アクアリウムでは新しいといっても過言ではない植物です。クリスプス等に比べて浮葉を出しやすく、浮葉と沈水葉をごちゃまぜに出す、浮葉をカットしても死なないなどの性質があるので、浮葉を交えたレイアウトを作るうえでは今後有用性が出てくる可能性があると思います。

 

20位 ペルシカリア バルバータレッド Persicaria aff. barbata 

手前味噌もいいところで恐縮なのですが、私の採集品を実生更新してみたものです。ケタデに混ざって生えており採集時はケタデ×シマヒメタデだと思っていたのですが稔性があります。実生もやはり結実能があるので、正体はいまいち謎です。ケタデはろくに沈水化しないのに本種は水中適性が高く、茎の下部にある葉まで赤みが残ります。多年生はケタデと同様なので心配いりません。アクアリウム用のタデとしてはかなりいい線をいっていると思うので、今後盛り上がりを見せるかどうかに期待していきたいですね。

 

19位 エリオカウロン スリランカスーパーナロー Eriocaulon cf. fluviatile

スリランカ便で10年以上前に入荷したホシクサです。長らく行方不明でしたが、突然アクバスに並んでビックリ。ソーシャルフェザーダスターに似ていますがより小型です。私の認識ではE. fluviatileらしい個体と思うのでそこもよいですね。アフリカからインド、インドシナあたりにかけてE. fluviatileやE. latifoliumなどの細葉で流水性の頑丈なホシクサが分布していますが、どうもアクア的には違うものとして扱われそうな変わった個体群が各所にいそうな感じです。そうしたものを中心にした第二次ホシクサブームとかきませんかね、と思ってしまったりします。尚、この種ですがエアリフト底面フィルターの栄養系ソイルで維持されていたらしいので栽培はとても簡単です。

 

18位 Wolffia columbiana 

大きな真ん丸のミジンコウキクサです。普通のミジンコウキクサが0.5㎜程度なのに対し、本種は1㎜程度あります。ミジンコウキクサの時点で相当単純化がすさまじいですが、本種は特に構造が単純で、もはやボール状の細胞塊となっています。とあるアクアショップからやってきた(と思われる)のですが、水槽に発生するウキクサの多様性を思い知らされることになりました。恐らくアクアリウムにひっついているミジンコウキクサ属は最低でも3種、おそらく5種以上いるのではと思っており、ショップ巡りをしながら探さねばと思っています。あ、そういえばトップ30の中で唯一のサトイモ科でした

 

17位 バリスネリア スピラリス レッド Vallisneria sp.

この種を取り上げたのは綺麗だからということではありません(ホント綺麗ですが…)この植物はバリスネリアとしては異常な質感で、剛性がすさまじいのです。しばしば水面を突き抜けてライトに当たって焼けているバリスネリアなど、他に類を見ません。葉の概形も異常で、先に行くほど緩やかに細くなり鋭頭です。模様が一切入らないのもポイントです。オーストラリアのV. annuaかV. erectaと予想しています。この二者はV. annuaが「唯一の一年草バリスネリア」、V. erectaが「唯一の抽水化するバリスネリア」ですが、両者は極めて近縁であることも知られています。V. erectaはまともな生体写真がほとんど見当たらず、どんな植物なのかという時点で興味津々です。(*Aqua greenの写真にある”V. erecta"はおそらくV. jacobsiiなので注意)こいつが条件次第で抽水化するのか?というところからまずは見ていきたいです。

 

16位 ワイルドパピルスウガンダ

まさか人生でワイルドもののアフリカ産パピルスを見ることがあるなんて思っていませんでした。本当にパピルスでした。す、すげえ… 個人的には一緒に来たCyperus assimilisもとても注目しております。アフリカの草にはロマンがあります…。

 

15、14位 シペルス ヘルフェリー Cyperus helferi (15ラオス、14ミャンマー

ラオスのチャンパサックから野生のシペルス ヘルフェリーが来てビックリ。シペルス ヘルフェリーは現地写真もあまり見当たらず、どんなところに生える植物なのか非常に興味津々でした。カッセルマン図鑑の今年バージョン(ドイツ語だけど)にも野生のシペルス ヘルフェリーの現地写真が載っていて、この種の解像度が一気に上がった感があります。というわけで林内の半日陰みたいなところに生えているのか…へえ・・・

と思っていたら。

ミャンマーからどうも日なたの大河川で雨季に水中生育するらしい水生シペルスが来たので驚きました。ヘルフェリーのインボイスで来ましたが触った感じはヘルフェリーらしくない硬さなので、もしかすると東南アジアにはヘルフェリー以外にも水中生育をよくするシペルスがいるのかもしれません。いや絶対いるのでしょう。

 

13位 キツネノマゴ科の一種(ミャンマー) Acanthaceae gen et sp. indet.

ワイルド有茎草なんてめったに届くものではないですが、しかもピーファウルハイグロらしき謎の水草が来ました。ピーファウルハイグロは全く尻尾のつかめない謎水草ですが、これでミャンマーにも分布があるらしい、というところまではつかめました。しかし本当に何なんでしょうねコレ。私はスタウロギネではないと思っています。謎のハイグロフィラと考えた方がまだましな気がしますが、あっと驚くような属だったりするかもしれません。

 

12位 アイノコカンガレイ Schoenoplectiella x uzenensis

園芸家って本当に交配が好きですよね。私はそこまでではなくて、むしろ原種が好きです。なぜかと言えば、雑種を基準に見てしまうと種を見る上での座標軸が掴めなくなるからです。ポタモゲトンで本当に酷い目に遭ってうんざりなのです。特徴が見えにくくなるだけの余計な交雑をした雑種ばかり見てきましたが、これは明らかに違います。こういうものこそ良い交配でしょう。サイズも繁殖力もちょうどいいし、耐寒性があって育てやすいし、水位の適応幅が広いし、何しろ完全に不稔で種子繁殖しないので逸出リスクも低い。これから外来種問題が深刻化していくと思いますが、ホームセンターなどに並べるには本種こそうってつけだと思います。

 

11位 メサンテムム ラディカンス Mesanthemum radicans

手前味噌ですが…アフリカの巨大ホシクサです。ホシクサは基本的にすべて南米を中心に分布するのですが、メサンテムムだけはアフリカ固有属です。カミハタギニア便2022で入荷した株を増やしていましたが、今年数株を販売譲渡することができました。アクアライフ1月号にもちらっと載ったりしたので、今後に期待です。実生にもチャレンジ中です。本種は水草として輸入されましたが、園芸植物の花ものとしての適性が非常に高いので、園芸家にピックアップされてほしいと考えています。

 

10位 ニムファエア テルマルム Nymphaea thermarum

ルワンダに分布する世界最小のスイレンかつ、タネが好気性発芽という唯一のスイレンです。好気条件で発芽することがわかり、繁殖方法が確立されるようになると世界中で観賞用・実験用などに流通するようになっていましたが、日本にはなぜかほとんど導入されませんでした。(おそらく、繁殖が確立されたのが2014頃で、そこから今まで日本の園芸・アクアが死に体で仕入れ力も需要も干上がっていたからでしょう)

ところで種子が湿った陸上で発芽する本種は、はたして水草なのでしょうか???

水草 Or Notの境界線上にいる植物です。水草は再度水から出ることができるのか。

 

9位 ニムフォイデス フラッキダ Nymphoides flaccida

コロンビアにいるだけという謎めいたガガブタです。ガガブタの中でもこのように細い葉しかもたない沈水性種というのは他に例がなく、しかも分布があまりに狭いためにろくに情報もないという真にマニアックかつ謎の水草でした。本種は形こそ異形ですが、最も近縁な種はNymphoidesの中でもガガブタそのもので、花はタイワンガガブタなど他のNymphoidesよりもガガブタによく似ています。というかほとんど同じです。

カッセルマンが採集しドイツはじめヨーロッパで流通していましたが、今年ようやく導入されました。ヨーロッパ経由とアメリカ経由と思います。(少なくとも片方はオランダ経由のようです、指摘があり訂正しました。)入荷したのはたいへんうれしかったのですが、同時に日本の水草業界がどれほど衰退傾向で、海外に後れを取っているかを認識させられました。日本にあるのは今まで下積みしてきた草の種数なので、維持を頑張らねば…と新しい水草を見ながら思ってしまうのもなんか微妙ですが、そんなことも思ったりしました。カッセルマンの水草だと、次はロタラ セルピリフォリアがきてほしいですね。

 

8位 Xyris sp. red

トウエンソウ科の水草が日本のアクアリウムに初めて導入されました。この種はここ数年シンガポールアメリカを中心に流通していましたが、日本に来ることはありませんでした。他にはない扇状の独特な草姿をもつこと、どことなくホシクサを2次元に圧縮したような姿で同じ感覚で育てられるらしいところからも、面白い水草だと思います。トウエンソウ科が流行る時代がいつか来るかもしれない…と思わされました。こういう新境地を切り開く可能性がある草は本当にうれしいです。

 

7位 Nymphaea nouchali var. nouchali (bulblet type)

ミャンマーから輸入された大量に分球する野生種熱帯スイレンです。ここまで分球するスイレンは他に見たことがないので驚かされました。さらに同様の分球する野生スイレンがタイ東部からも2系統、在来種改良スイレンが1系統知られており、このような奇妙なスイレンメコンデルタの広域に分布する可能性が見えてきました。もちろん改良スイレンの親種として高いポテンシャルを持ちますし、そもそも地味な花の野生スイレンが好きで、かつアジアの野生スイレンが一番好きだけど分球しないしすぐ休眠するのでもどかしく思っていた人としては本当に嬉しかったです。

 

6位 ギニアンスレンダーグラミネア Fuirena aff. umbellata

Rootsにカミハタギニア便2022の混じりで入った植物です。最近大きく育ち、購入した友人から写真が送られてきたのですが…これは以前来た、最も欲しかった写真だけしか見たことのない水草、フラグミテスspギニアの再来ではありませんか。これが入手できなかったし、おそらく日本から絶滅したからわざわざ沖縄まで行ってヒロハノクロタマガヤツリF. umbellataを実生したりしていたのです。しかしこの寄り道でさらに面白いことに気づきました。五角柱状の茎や分布などからして本種はF. umbellataとされているものと思われるのですが、沖縄のヒロハノクロタマガヤツリは沈水できないのです。同種とされているものの中にも水中適性の差から見ると明らかに区分されるべきものがある可能性が見えてきました。同様なことを先ほどペルシカリアでも書きましたね。

 

5位 ストラティオテス アロイデス Stratiotes aloides

世にも奇妙な珍妙水草の代表でしょう。夏は浮き、冬は沈む唯一無二の生態、バキバキに硬く触っただけで流血する異常な硬さ、水草なのに高硬度をとにかく好む異質さ、どれをとっても変です。これまで水槽内での栽培に難があるとされてきましたが、攻略法が編み出されたことにより栽培のめどが立ってきました。関東の水草の栽培に極めて向かない水道水がむしろ栽培に好都合なのも今後に期待できるポイントでしょう。この種をメインとした、「草を楽しむ」アクアリウムが広まってくれることに期待します。

 

4位 クラドプス クイーンズランディカス Cladopus queenslandicus

最も奇妙な被子植物にして水草、カワゴケソウ科です。いままで輸入、栽培化が成功した2種のカワゴケソウ科(Indotristicha ramosissimaとTerniopsis sp.)はいずれもトリスティカ亜科で、カワゴケソウ科でも特殊化が進んでいない原始的なグループでした。なので勝手に、より派生的なカワゴケソウ亜科はどれも栽培不可能なのだと信じ込んでいました。しかし今回LA便で持ち込まれた株は各所で栽培に成功しつつあるように見え、少なくともすぐ死んでしまうとか、とても無理という感じには見えません。さらに、輸入されたのは葉状の根部ではなく先端部でしたが、そこから再生することも特筆すべきです。カワゴケソウは栽培が無理な草から、頑張れば育てられる草になろうとしています。

 

3位 エキノドルス ホリゾンタリス Echinodorus horizontalis

トップ5は、「今年初めて見た属の水草」にしなければならないと思っていました。しかしこれは絶対に外せないし、外してはいけないという使命感すら感じました。10年以上ぶりのワイルドエキノドルス、これは水草ファンの最も待っていたものであり、水草時代の再来を感じさせる吉兆であると感じさせられました。

ホリゾンタリスという熱帯性エキノドルスはひじょうに古くから流通していたにもかかわらず、今では何か別物の温帯性エキノドルスにとってかわられてしまっていることについて述べねばなりません。したがって、「charmで500円じゃん」というのは全くもって的外れなのです。それは黄鉄鉱は安いから純金も安く売れといっているようなものです。名前やタグ、そして値段だけを追いかけても何も得られないのです。そのものに向き合って違いを見出し、違いの根拠を見てとるようになること、それこそが植物を楽しむことだと思います。

 

2位 ピルラリア グロブリフェラ Pilularia globulifera

1970年代から書籍では名前だけ知られてきた水草で、しかも海外ではIAPLCに用いられるほどの水草であるにもかかわらず、日本には恐らく一度も導入されなかった水草です。デンジソウの仲間でありながら葉身がなくヘアーグラスのような姿であるという異常性はやはりすばらしいものです。ヨーロッパ原産なので耐寒性があると思われますが、くれぐれも逸出には気を付けてください。

 

1位 バリスネリア ルブラ (マイデニア ルブラ)Vallisneria rubra

バリスネリアには到底見えない、奇妙な植物です。原記載でもバリスネリアの仲間であることは明らかであるとしながらも、別属のMaidenia rubraとして記載されました。今回は増殖品が輸入されていますが、どういうわけか、あまりにも嬉しいことに雄と雌が揃っています。この雄と雌が揃っているというのはこの手のマニアックなトチカガミ科において最も重要なことで、ありがたすぎる話です。なぜなら、多くのトチカガミ科は雌雄異株なので、一株買っても増やせないのです(オテリアやブリクサの大部分が特にそう)。そのあたりに理解のある方が生産されているのだと思いました。さらに、雄と雌に草姿の違いがある様子も見てとれました。そのような植物はきわめて少ないので特筆すべきことです。こんな機会はまずないので、入手できそうな方は絶対に、雄と雌、両方入手してそだててもらいたいものです。損はしない筈です。そもそも、雄と雌が揃えられるバリスネリアは市販のものだと本種しかないと思います。バリスネリアの最大の魅力、それは雄花が水面にばらまかれて漂流し、ゴルフの穴のように水面に口を開けた雌花にキャッチされて受粉するという独特の受粉生態です。これを見ずして、「これでもバリスネリアなんだって」で済ませるのはもったいないにもほどがあるのです。

絶対雄雌揃えましょう。