「水草」といえば維管束植物で、「海藻」といえば藻類の謎・・・逆に言えば、なぜ「淡水海藻」も「海草」は例外的なのか。
ずっと気になっているテーマであり、おそらく水草趣味にまつわる謎の最大のものだと思っている。
水草水槽においてしばしば藻類に悩まされるが、もし藻類がグリーンロタラくらいの大きさがあったらどうだろうか?
たぶん、藻類アクアリウムが流行っていたのではないだろうか。
海水ではげんに海藻レイアウトが行われ、水草のように育てられる大型藻類としてイチイヅタやクビレズタが取引されているではないか。
(多くのアクアリストの水槽や崩壊した日本の平野部の水辺とは裏腹に)淡水域において、藻類に比べて水草が圧倒的に優勢なのは疑いようもない。
長さ数メートルにもなる”森”を水中に作る藻類はたった1グループ、シャジクモ類しかおらず、しかも、そのシャジクモ類も水草に比べてみれば、とてもちんけで小型のものである。
藻類は小さいもの…というのも、幻想ではないだろうか?
淡水でもよくみられる緑藻においてもミルやクビレズタ、イチイヅタといったそれなりに大型になるものが多くいる。
淡水では黒ひげゴケとしておなじみの紅藻にもテングサのようにかなり大型のものが多くいる。淡水にもそこそこ大型のものはいるが、カワモズクやオオイシソウ、アヤギヌ(レッドファイヤーモスとか)のような地味なサイズ感である。
褐藻類はコンブやワカメといった巨大な「海藻」の多くを含み、長さ60mにも達するものがあり、水草では到底なしえない次元の巨大化を達成している。淡水では「稀」ではあるものの(10種ほど淡水種がいる)、汽水域に進出する種がいくらかいるのでいつ淡水に進出してもおかしくない。
それに対して海草の貧弱さは指摘するべくもない。実質的にヒルムシロ科とトチカガミ科しかないではないか。淡水において最強クラスに水中に特化した2科が海にも進出した・・・が、あまりうまくいっているようには思えない。なにせ、世界の海草は60種ほどしかいないのである。形態的多様性にも乏しく、いまだに一見したところヒルムシロ科なのかトチカガミ科なのかわからない。
それとは全く逆に、淡水域において「海藻の森」はシャジクモ藻類によるものしか聞いたことがなく、形態的にも多様性に乏しい。
非常に興味深い現象ではないかと思う。
おそらく淡水域と海水域の根本的な環境の違いが原因だと思っていて、おそらくそのあたりに自然環境や水草水槽における藻類と水草のバランスを決める答えがあるように思えてならない。