水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

ヒロハイヌノヒゲ

ヒロハイヌノヒゲは他のホシクサ類に比べて適応範囲が広い印象を受ける。

やや自然度の高い水田に生じるものをよく見かけるが、池畔や湧水湿地などで見かけることもある。ここではテンツキ属やアゼナ、ヒナガヤツリなどとともに生育していた。

日本産ホシクサ類では総苞片が短いことでニッポンイヌノヒゲやイヌノヒゲとよく識別できる。ただし中途半端な総苞片の長さを持つ個体もいるので、そのあたりの見当は必要かもしれない。オオホシクサ、ヤマトホシクサやクロイヌノヒゲ類の花茎はふつう長いが、ヒロハイヌノヒゲの花茎は葉長と同じか葉長より短い程度である。(案外、小型個体はアズマホシクサと紛らわしいことがある)また時々黒花型(クロヒロハイヌノヒゲ)がいて紛らわしい。黒花+総苞片が中途半端に長く透明感が強い…という違和感だらけの株を見たことがあるが、それもヒロハイヌノヒゲで良いのではないかと思う。他のイヌノヒゲ類とは交雑することがある。栽培下においても、ニッポンイヌノヒゲとの交雑個体が発生したことがある。(ニッポンイヌノヒゲは交雑が激しいと聞くので、これが生じて以降栽培をやめることにした)

水田に生じるホシクサ属は殆どがホシクサとヒロハイヌノヒゲで、稀にクロホシクサ、イヌノヒゲ、ニッポンイヌノヒゲ、イトイヌノヒゲが混じる。ホシクサというと何となく水田の植物の印象があるが、水田は本質的には生育に向いていないのだと思う。おそらく日照が悪いためではないかと思っているが自信はない。

なお、適応範囲が広いことから栽培は容易で、実生の発芽率も良い。黒土や田土、荒木田、赤玉+肥料など用土はあまり選ばない。何となく陸生と思われている節があるものの、ほかのイヌノヒゲ類同様に両生植物として生育していることもあるので水中でも初期の生育は可能である。

花芽の発生は関東だと8月最終週の後半から9月第2週にかけて始まる。他の種に比べると遅いので、まだ咲いていないからと期待して(?)8月後半あたりに水槽に入れたりするとすぐに花芽分化がはじまり、葉が一枚も出ないうちに花ばかりあげて終了する。一年草なので普通の管理下なら一度花が出始めたら二度と葉をだすことはない。実生で増やしてごく小さな株を水槽導入すれば沈水状態での生育を楽しめるはずであるが、そこまでするのも骨が折れるので毎年実生で増やして水上で楽しんでいる。