謎モノですが,南米のものでは無いと思います.早期に入れ替わってしまったのでしょう.
流通名 アラグアイアレッドシャープリーフハイグロ,ハイグロフィラspアラグアイア
別名・略称 レッドシャープリーフハイグロ
学名 Hygrophila ringens
海外流通名 Hygrophila lancea
分類 キツネノマゴ科
分布 アジアの熱帯~亜熱帯
この水草について
水上傾向が強い水草で,水中葉は赤くきれいですが成長は遅く,這い性の傾向はありますがそのうち立ち上がってくることもしばしばあります.アラグアイアの名を冠してはいますが,流通過程で入れ替わってしまったか,ネーミングが間違った植物の可能性があり謎モノです.
水上に挙げるとすぐ紫の花を咲かせ,勝手に種をばらまいて生えてきます.
野生下での生態
私なりの育て方
水中でやると綺麗ではあるのですが,いかんせん根はりが強いのに成長が遅いです.水中適性はあまり高くないと思います.トロピカ株はひたすらに上に上に伸びていきました.
水槽以外での楽しみ方
水上ベースのハイグロフィラなので,栽培は水上なら容易です.水を張って肥料をやれば育つくらいです.しかし本種は非常に実生繁殖力が強く極めて危険です.絶対に屋外に出したくない水草です.在来のオギノツメと混じったり交雑したら取り返しがつきません.
混同されがちな種と見分け方
これの正体にさんざん悩まされましたが,南米のものであるということ自体が怪しいです.トロピカのホームページでは東アジアのH. lanceaじゃないかと言っていますが,出元が日本だからという側面もあるかも….H. lanceaはH. ringensのシノニムであるのと,日本のH. ringens(オギノツメ)は本個体群に似ておらず葉幅が広く水中栽培は厳しいので違うと思います.様々なファーム便からこれに似たH. lanceaが来ており,”メキシコ産”などの怪しい産地情報のものも多いです.非常に実生繁殖力が強いので,正直いうといまや,(もしかしたらその出自も?)温室雑草的なものかもしれません.
”アラグアイア”に関しても形質が安定せず,例えばトロピカ組織培養株は成長が遅いだけで這わずに上にゆっくり立ち上がるように育つ印象があります.多分ファームの水上栽培でもどんどん実生を繰り返して交雑し,わからない何かの雑草になっているのだと思います.
さて,なぜ本種がアラグアイアと言われるようになったかについてひとつ考察.
90年代に「アラグアイアレッドハイグロ」なる水草が入荷しており,これは葉脈が赤く細葉のスタウロギネです.これと混同されたのではないでしょうか.さらに当時は南米の真っ赤で似たような色やサイズのDiodia(パンタナルピンクハイグロの類)がたびたび紹介されており,(生き残ったのはパンタナルピンクムグラだけですが...)両者の情報が混じって混同されたのではないか?本個体群のもともとの名前は「レッドシャープリーフハイグロ」だったのが,混ざってアラグアイアがついてしまったのではないのか?というのが私の推測です....しかし真相はまだ謎のままです.
水上でやるとどんどん実生・交雑してわけがわからなくなるものなので,もし今もずっと水中で維持している方がいれば,できればそのまま維持した方がよく,買い替えると這わなくなるなど形質が劣化するだろうと予想します.