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ツツイトモとイトモの学名について

ツツイトモ の学名表記は,国内ではPotamogeton pusillusとPotamogeton panormitanusの2パターンがあり,イトモの学名表記は,国内ではPotamogeton berchtoldiiとPotamogeton pusillusをよく見かける.

ようするに,Potamogeton pusillusと言ったばあい,イトモを指しているのかツツイトモを指しているのかよくわからなくなってしまう.

これは世界的に言えることであるが,日本語で平易に経緯を書いているサイトがなさそうなので図にしてみた.

 

結論から言うと,ツツイトモがP. pusillus, イトモがP. berchtoldiiである.

日本での名称がいまも混乱している理由としては,Miki (1935)でツツイトモをP. panormitanus,イトモをP. pusillusとして詳細に記述しており,多くの文献がこれを模範としたことであろう.時期を考えれば当然のことである.

 

参考文献(図は主にHaynes, 1974の記述より作成.)

Dandy J. E. & G. Taylor. 1938. Studies of British Potamogetons. -I. The typification of Potamogeton pusillus. Jour. Bot. 76: 89-92.

Fernald, M. L. 1932. The linear-leaved North American species of Potamogeton section Axillares. Mem. Amer. Acad. Arts. 17:1-183.

Hagstrom, J. O. 1916. Critical researches on the Potamogetons. Kongl. Svenska Vetenskapsakad. Handl. 55(5):1-281.

Haynes, R. R. 1974. A revision of North American Potamogeton Subsection Pusilli (Potamogetonaceae). Rhodora. 76: 564-649.

Linnaeus. 1753. Species Plantarium. 1:127.

Miki, S. 1935.New water plants in Asia Orientalis I. Shokubutsugaku Zasshi, 49(586), 687-693.