チャームでは生産されていることに驚く水草が多々あります.しかも,家庭と同じような水草水槽で,文字通り「売るほど」生産されているということで,圧倒的な栽培技術には毎度驚かされるばかりです.
デビュー当時から極めて難しい水草として知られ,組織培養で大量に輸入され非常に魅力的ながらも育てた例をめったに聞かない本種も,このとおり.
日本で導入する水槽に似た条件で育てられているため,おそらく組織培養モノより日本の水槽に順化しやすいのではと思います.
海外から輸入され,だれも育てられないまま消えていき,売られるのは輸入品ばかり,というのでは日本での栽培スキルは下がる一方でしょうし,ついには大事に維持する人すらいなくなってしまいます.もちろん日本の風土や栽培条件になじむことも永遠に無いでしょう.
誰かが育てた国産品が流通しないことには,日本の水草栽培は衰退していく一方です.
ということで試しに買ってみてはいかがでしょう(前景草育てるスペース持ってないので育ててない,とはなかなか言えない...).
流通名 エラチネ ハイドロパイパー
学名 Elatine hydropiper
海外流通名 Elatine hydropiper
分類 ミゾハコベ科
分布 ユーラシア大陸北部
この水草について
ユーラシア大陸の高緯度に生息する水草です.この地域に生息する水草には多様なスギナモ類やミゾハコベ類をはじめとして魅力的なものも多いですが,流通に乗るものはほとんどありません.その中でも数少ない,栽培方法が確立され流通する水草です.ミゾハコベ類としては栽培方法が確立されている方だと思います.(ラトナギリと本種しか流通がない)
野生下での生態
自生地写真を見る限り,比較的富栄養の湿地や池の水中から水際にかけて生息するようです.日本でのアワゴケ類のような生態です.水槽栽培ができること自体が驚きの条件ですが,水深が浅いことから案外水温が上がる,高緯度であることや濁りから浅水域でもそこまで日照が強くないなどの理由があるかもしれません.
私なりの育て方
組織培養カップは日持ちがせず,立て直しが困難で失敗した経験があります.栽培株からならだいぶハードルが低いと思われるので,近いうちにリトライしようと思っています.
水槽以外での楽しみ方
混同されがちな種と見分け方
グロッソスティグマ属にも小型のものがいくつかありますが,本種と異なり真にランナー状です.
一方で本種はグロッソスティグマのような育ち方をしますが,茎が埋まっていて葉だけが出ているような恰好であまり節間も伸びず,一本抜いてみると有茎草のような形態をしています.
トロピカ社が一時期,本種としてニューラージパールグラスを売っていたことがあり流通が混乱しました.現在は本物を売っています.