前景草からやってますがこれは前景草なのか??
私には前景で使う自信はないです.
別名・略称 トニナ,トニナsp,トニナ・フルビアティリス
学名 Syngonanthus anomalus
海外流通名 Syngonanthus sp. "Belem", Syngonanthus macrocaulon
分類 ホシクサ科
分布 南米,アマゾン流域北部
この水草について
最も有名な南米水草で,水草の王様といっていい風格があります.(個人的にエイクホルニア・アズレア,エキノドルス”ホレマニーブロード”,パンタナルレッドピンネイトと並び水草四天王といっていい...って全部南米じゃないか)
本種だけで”トニナの森”とよばれる単一種水草水槽を作る人が続出するほどの魅力があり,栽培が難しめであるにもかかわらず多くのファンがいます.
野生下での生態
低pHのブラックウォーター水域,緩い流れのある小河川に生息します.同じような低pH水域を好むラージマヤカ,エグレリア,スターレンジ,エレオカリスミニマなどと混生します.
私なりの育て方
低pHであること,根を出させてから植え込むことが最も肝心です.根が出ていないようであれば浮かせたりミズゴケの上に並べたりして発根させましょう.テトラpH/KHマイナスでpHを下げています.トニナを育てるぶんには入れすぎるということはあまりないので,こちらでは8Lあたり5mlという暴力的な量を入れています.カルキ抜きだと思えば大した量じゃないでしょう(???の発想)
濾過力は底面式やコーナーなどの濾過力が低いものでもよく,超栄養系ソイルを使うと立ち上げが楽です.CO2は無くても育つケースがあるようですが,CO2を入れないと一日もたたないうちに明らかに葉色が薄くなるためCO2依存度は高いと思います.そもそもやたら代謝のいい水草なので,成長も肥料吸収もCO2吸収も急激です.
トリミングは下から側芽が伸びてきていることを確認したうえで,側芽を残すように先端を摘み取る方がよいと思います.差し戻しは根が取れてしまうためやめた方がいいです.やるなら根がついた側芽を植え込んだ方がうまくいきます.
水槽以外での楽しみ方
ストック方法として,ミズゴケを敷いた密閉容器に並べておいて光をあてておけば1か月以上保存できます.しかし成長はほぼ止まってしまい,栽培とは程遠いです.
混同されがちな種と見分け方
Syngonanthus macrocaulonはS. anomalusのシノニムになっています.似たものは現状ないのではと思います.
なぜかマナウス産やマデイラ産のものがS. inundatusとアクアリウム業界では扱われがちですが,S. inundatusはS. appressusのシノニムですし,茎は太くまっすぐ伸びるタイプです.アクアリウムで流通するものだと,ペドラスターの細い方やオンダスIIの類でしょう.この類も面白い水生種をいくつか含むので,まだまだ探す余地のある水草と言っていいでしょう.南米水草はだいたい出尽くしているといってもいいくらいですますが,ホシクサやカヤツリグサにはまだまだ未知のものが沢山あります.