推奨できる水槽台は、ニッソーのスチールキャビネット600 NCS-030である。
これに66㎝×30㎝板材を載せて60㎝、45㎝、30㎝キューブ水槽を載せるのが私の推奨である。60㎝、45㎝、30㎝キューブのいずれを用いるにしても使う水槽台はNCS-030一択であるといってよい。ようするにやるなら30キューブを2個並べるか、60㎝一個を並べるべきであって、45㎝は中途半端である。
ニッソー 水槽台 組立スチールキャビネット 600 NCS-030 | チャーム
逆に言えば、現状で大量生産されている水槽台の殆どが推奨に値しない。
水槽台が2万円以上するものに関しては考慮に入れていない(水槽台だけで水槽セットアップ費用の半分を占めてしまうのは望ましくない)。
去年頃まではGEXのスチール水槽台があったが、これは絶版になってしまい後継のアクアラックスチール600がスチール水槽台として対抗馬となっている。
しかしこのアクアラックスチール600、実際組み立ててみると安定性にやや不安があり、ゆらゆらしがちである。しかも下段が実質的に床に直置きといっていいので、下段に水槽を置いてしばらくすれば、その下はこもってカビだらけになるだろう。
旧バージョンがあるうちはゆらゆらすることもなく、下の通気性もよかったのだけど…どうしてこうなった。
さらにいえば、旧シリーズ廃止のせいで45㎝水槽用のフレーム水槽台がなくなってしまった。
そして30キューブや45㎝用の水槽台はほとんどがMDF材を使った危険な設計(後述)なので、
「台を加味すると30㎝キューブ水槽を買っても45㎝水槽を買っても60㎝水槽を買ってもお代もほとんど変わらないしお台も変えられない」
「水槽を小型化させても部屋に占める面積は何ら変わらない」
というとんでもない状況となっている。
さらに言おう。
「各サイズの水槽が初心者向けを謳って市販されているが、どのサイズを買っても載せるべき水槽台は60㎝水槽用一択である。したがって、水槽サイズを削っても安全性を削るか生き物の飼育可能性を削ることにしかならない」
もっといってみようか。
「水槽をいくら売りたくても置き場のない商品など、売れるわけがない」。
昔ながらの木製水槽台は強度、信頼性ともに推奨しうると考えられるが、やや高価なものが多いことや、設計が色々である点は留意いただきたい。
スチールラックの構造をもつ鉄板を板材として用いる水槽台は強度および耐久性では評価しうる。しかし歪みが発生したという声も多いため、第一推奨とはならない。
ガラス水槽台は最近はやっているし、後述するトンデモ水槽台よりはましなようにすら思えるのだが、万一割れたときに何が起こるかは分かったうえで流行っているのか、気が知れない。
トンデモ水槽台⓵ 板が水に溶ける材質
板材を用いた水槽台はものすごく沢山あるが、ほとんどがMDF材などのおがくずを水溶性の糊で固めた構造であり、「水槽台なのに水に弱い」という致命的なリスクを抱えているためどれも推奨しない。しかも買ってみないと材質がよくわからなかったり、塗膜でコーティングしているからOK!といったものが多くぱっと見では信用できない。
コーティングとは破られるものだ。とくにMDF材は水を吸った際に全体的に強度が低下し、膨らんだのちにほぐれるように崩壊するため、長期使用すれば突然、破断を引き起こしうる。破断による被害例は今のところ耳にしていないが、膨らむところまでいった、という話は非常によく聞く。
トンデモ水槽台⓶ ネジ一本で水槽の全重量を支える設計のもの
ネジを用いた水槽台もいくつかあるが、「ネジ一本で水槽の重量を支える」という狂気の設計がみられる商品がいくつかあり、要注意である。ネジの溝は水槽で色々用いる腐食性物質が溜まりやすく、いずれ破断をきたす危険性がある。とくに硫酸を含むpHマイナスを頻用せざるをえない水草アクアリストにとっては禁忌といっていい。
その他、この構造で本当に重量分散できるの??という設計のものや、これでは歪むだろう・・・と思わせるものなどたくさんある。
ところでNCS-030は1980年代の設計で、説明書にある推奨水槽にはステンレス枠水槽の名もあったりする。それよりましな水槽台がその後一種も市販されていない…というのは一体、どういうことなのだろうか。
ぱっと見のスタイリッシュさや、見栄えの良さばかりを追い続けて、肝心な台としての耐久性を犠牲にした商品があまりにも多い。ぱっと見よさげに見えるけれどもよく見るとひどく杜撰な設計のものばかりが新商品!としてリリースされるのは何とも見苦しいものである。もうちょっと、「売れるから売る」のではなく、「買った人のためになる」商品展開ができないものなのだろうかと、次に買う水槽台を検討しながら必ず思う。そして、だから15年前から同じ水槽台を買い続けているのだ。