こんなものをネット状で見かけた。
タイヌビエC型やヒメタイヌビエのように小穂に艶を持つヒメイヌビエ類似の植物である。
よく似た、小穂の護穎が膨出し艶を持つことを特徴とし、小穂の小さいイヌビエ類似種がドイツの文献に載っており、Echinochloa crus-galli var. spiralisとしている。先の報告例ととてもよく似ていると思うのだがどうだろうか。
Scholz H (2002) Wenig bekannte heimische und fremdländische Gräser Deutschlands. Floristische Rundbriefe 36(2): 33–44.
タイヌビエのC型とF型のようなものなのかもしれず、ドイツのE. c. spiralisと同じ起源を持つものかはわからないが、とても興味深い例だろう。元々ヨーロッパ原産のヒエ類が日本に帰化している可能性も十分ある。
また、農薬春秋 No. 91(2014)の「水田の雑草ヒエのあれこれ」秋田県立大学 生物資源科学部. 森田弘彦では、日本産のE. crus-galli系のヒエであっても既存の区分にあてはまらない系統が持ち込まれていると書かれており、また日本にもEchinochloa crus-galli var. oryzoidesがいるのではないか?といった意見があることについても触れられている。
Echinochloa crus-galli var. oryzoidesに関しては、
Hoste, I., & Verloove, F. (2022). Taxonomy of the weed species of the genus Echinochloa (Poaceae, Paniceae) in Southwestern Europe: Exploring the confused current state of affairs. PhytoKeys, 197, 1.
.https://doi.org/10.3897/phytokeys.197.79499
を見る限り、タイヌビエの草体にケイヌビエの穂をつけて、小穂をタイヌビエクラスに大きくしたような植物である。こういう植物は見覚えがあるので、以前見かけた場所の周囲で今後探してみようと思う。
北米原産のイヌビエ類の侵入は大いに危惧されるところで、しかも北米産イヌビエ類とユーラシア産イヌビエ類は区別が難しいもののどうやら別種らしい。げんにヨーロッパには侵入例があるようなので、この辺りは後々調べてみようと思う。