よく混同される水草です。
ショップでも「ミズネコノオ ネコ!」とやたらネコ強調して売られている株からランナーが出ていたりします(ははは)。
「虎を猫といえば猫になるのか」銀河英雄伝説にそんな台詞があったような気がしますね(笑)
さて、私としてはミズトラノオには非常に思い入れがあるのですがミズネコノオは私の行動圏ではよく見かける水草で、割と雑魚扱いです。よく見かける株は高さ10cmくらいのしょぼい株で有ることも雑魚扱いになってしまう原因にあるでしょう。
この2種は大型株ではよく似ていますが、生態は全く異なります。
ミズネコノオは一年草ですが、主に水中で発芽し、水中葉を展開しながら水面を突破し、抽水になって開花します。基本的に水位の上下があるか、撹乱があるかによって浅い水深に他の水草がなく、かつ肥沃で水質の良い環境を好みます。ホシクサ類と条件が似ていますが、より肥沃よりです。水中葉をよく展開するのは基本的に幼形葉としてです。沈めても出しますが基本的には。双葉から水中葉で力を蓄えてから、水面を突破するのです。
ミズトラノオは多年草で、他の抽水•湿性植物とバトルしながら育つ植物です。秋になると草体のあらゆる節から大量の地下茎を伸ばし、その先端で越冬します。この地下茎の量は他に追随を許さぬほど派手なもので、鉢はまず間違いなく地下茎で詰まります。ここでポットを抜くようにしないと酸欠で地下茎が腐って来年地獄になるので気をつけましょう。
さて、イデオンのミサイルが如くうじゃうじゃ発射された地下茎は春になると地下茎が持っていた栄養をフルに使って急成長し水面を突き抜け、花を咲かせてまた地下茎爆撃を行うという感じです。
つまりミズトラノオにとって水中はあくまで高速で通り抜ける通過点でしかない。祖先はミズネコノオみたいな植物だと思うのである程度水中育成はできますが、水中では本来の魅力は発揮できないということです。
ところでミズトラノオは豪華な花を咲かせますが結実率は極めて低いです。結実しても滅多に発芽しません。これはおそらく自家不和合性が強いためであると思います。
ミズトラノオは花を豪華にして受粉昆虫を遠くからも多く集めることで、遠くにいるであろう同胞からの花粉をひたすら待っているわけです。
しかしながら現実はどうでしょう。
ミズトラノオは上述したように栄養繁殖が凄まじい植物です。つまり一つの大群落はおそらく一株に由来します。そうした群落が現状、各県一つか二つ、多くても隣接はしていないといったところです。
これではもはや種子産生は不可能ではないかと個人的に思います。だとすれば、もう詰んでいるということになります…何かしらの対策が必要でしょう。
ミズネコノオはそれに対して花は地味で、おそらく自家受粉していると思います。
一年草なので確実に種子を残すというわけです。ミズネコノオは他の水草に対する戦闘力が低いので、ライバルのいない好適な環境はいつ現れるかわかりません。それまで何年でも何十年でも待ち続けるようです。そして、長いこと見つかっていなかった産地で突然復活したりします。