ブログを見ている方なら皆お察しの通り、ヘアーグラスの類が好きです。しかしながら、ランナーで増える、沈水主体で細長いヘアーグラスを持っていないことに気づきました。というわけで2種導入してみます。
ありえないサイズのヘアーグラスと、
小さなヘアーグラスを入手しました。
うまく育つかはまだわかりませんが、お楽しみに。(あれ、結局全然普通のヘアーグラスじゃないじゃん…)
「キヌイトフラスコモ」なるNitellaがアクアルートの某問屋便で入荷していたので紹介しようかと思います。キヌイトフラスコモとなぜ断定されていたのか疑問ですが、キヌイトフラスコモがNitella gracilisであることを考えると納得しました。
かつて流通するニテラに「ニテラ・グラキリス」なる細分岐はあるが割と粗いニテラがいたので、それの末裔ではないでしょうか。
野外採集品のような傷みや汚れはなく、ウィローモスの断片が混じっていたので少なくとも維持品と思います。
なお、卵胞子をつけていなかったので同定は現時点では難しいと思います。
ちなみにアクアリウムで流通するニテラにはかなりの種数があるように見えます。
今や水草を維持累代しているショップなど(とくに関東には)殆どありませんが、ニテラやナヤスは雑草的な性質を持つものがあるので、エビ水槽に混じって生き残っている場合があります。
そういったものを探してみるのもわりとアリな楽しみ方だと思います。
良く行くホームセンター,水草の品揃えが異常に良いので助かっています.
とりあえず国内ファームから出る水草は大抵揃っているようで,最近では手に入りにくい水草が入ることもあります.ボーグハイグロとか,ディディプリスとか,ヒドロトリケ(⁉)とか…ファーム便なら南米水草も入ります.ピンネイト()とか,パンタナルグリーンクリスパとか.
今回はこんなものが入っていました.イエローバコパです.
(イエローバコパは元々は斑入りでは?という気もしますがそこらへんどうなんでしょう.)
売っているのは以前も見かけていたのですが,実際に手に取ってみると想像を絶する大きさです.
葉が巨大なだけでなく茎も含気組織が発達しており,断面は車軸状です.このあたりはよく似たウォーターバコパやアラグアイアパープルバコパが増えたときに比較してみようと思います.
本種もまあ南米バコパの一員なので,水中栽培には癖の強い系な気がします.ひとまず屋外栽培しつつ,1本はわき芽を出させてから水中栽培しようと思います.イエローバコパの水中葉って写真あまりないですし.
沈水できるシソ科はPogostemonくらいである…と書いていた文献を見た覚えがあるけれど,どれだったっけ.
まあ水辺にどれほど多様なシソ科が生えていることを考えれば,そんなことはあるまい.というわけで,見慣れない属の水生シソ科を調べてみたらこんなものが出てきた.
そもそもまず,Platostomaってなんぞや?
仙草と同属らしいが,あいにく漢方薬には明るくないのでいまいちよくわからない.
原記載はJSTORで本文をみつけることができましたが,フランス語+形態記述はラテン語でかなり読みづらく.
で.…結局Plants of the worldにあるのと情報があまり変わらないようだったのでPoWoのリンクを張っておきます.
さて,原記載にもあるように水中茎の毛がなくなったり水中葉が細長くなったりする,また主に浅い水中~抽水で生育するということから水中適応がかなり進んだ種と思われます.正直Pogostemon以外にここまで水草らしいシソ科が居るとはあまり思っていなかったので,驚きです.
Lisowski, S., & Mielcarek, R. (1984). [Limniboza dilungensis Lisowski and Mielcarek, a new Lamiaceae from Zaire [High Shaba]]. Bulletin van de Nationale Plantentuin van Belgie.
ギニアンスタープラント・ナローの情報が不足しすぎています.
ミクリのようなホシクサ?で,ランナーを出すくらいしか情報がありません.
さて,よく言われる「ホシクサはランナーを出さないからギニアンナローはホシクサじゃないんじゃないか」
ということに関して,ランナーのようなものを出すホシクサに一つ心当たりがあるので言及しておきます.
Eriocaulon africanumはアフリカ南部を中心に分布する流水性・沈水性のホシクサで,葉は6~35㎝のリボン状,幅2~5㎜です.特異なことに,頭花から子株を吹くだけでなく花茎が下に向かって伸長し,まるでランナーのように地面に突き刺さって発芽成長し,結果としてランナー増殖のような形をとります.(Phillips 1988)
さてE. africanumには現在シノニムとされているE. malaisseiという近似種があり,こちらはよりがっしりとしていてランナー(?)増殖ではなく根茎が伸長して増殖するようです.
ギニアンスタープラントのブロードとナローの関係に非常に似ており,興味が持たれるところです.
そもそも前の項で述べたE. latifolium(西アフリカ~アンゴラに分布,主に沈水性でリボン状)とE. africanum(アンゴラ~南アフリカに分布,主に沈水性でリボン状)のどこがどう違うのかについても調べておかねばならなそうです.
なぜそんなことをいうのかというと,ギニアンスタープラント・ブロードが屋外越冬したという証言があるためです.屋外越冬した以上,温帯域にも分布があっておかしくない筈ですが,アフリカ南部からはE. latifoliumのかわりにE. africanumがおもに確認されており,さらにザンビアからは草体の記述がE. latifoliumと何ら変わりないE. malaisseiが記載されており,そのE. malaisseiはE. africanumのシノニムとされている…という現状があるためです.
E. latifoliumの花に関する詳細な記述を見つけ次第比較したいところですが,ここは再検討を待つべきかもしれません.
また,両種がともに確認されているアンゴラにおいてどのように区別されているのか,気になるところです.
PHILLIPS, S. M. (1998). Eriocaulaceae of the Flora Zambesiaca area. Kirkia, 11-67.
ギニアンスタープラント・ブロードはおそらく日本に1株くらいしか現存していないのではないか.それはRootsさんのところで今日も巨大化しているらしい...
さて,Rootsさんの配信にて「茎が凄く伸びてきた」という話をされていた.茎が伸長し恐らく流水性,葉長が著しく長くなる,となればもう候補はかなり絞り込まれてきました.
アフリカの大型ホシクサといえばMesanthemumだが,Rootsさんの挙げられた花の写真はあまりMesanthemumらしくありませんでした.たとえば,最有力候補に挙げていたM. radicansでは総苞片が突出しイヌノヒゲ状になります.
幸いギニアのホシクサ類はあまり多くありません.しかも水草として輸入されるということは,わりと普通種を想定すべきでしょう(一か所にしか生えていないようなものをわざわざ持ってくるとは考え難い).そうなると候補はかなり絞り込まれ,20種程度に.ここで絞り込んで...
早速ヒット.
Eriocaulon latifoliumがとても近そうです.
https://www.gbif.org/ja/occurrence/gallery?taxon_key=2690839
さらに,アヌビアスと並んで生えている写真も.
さらに,「多年生でがっしりとした水生植物.若いうちはロゼットを作り,茎はのちに伸長して,根と繊維状の葉の残骸に覆われたしっかりとした根茎をつくる」とあり,配信で聞いた情報にまさに合致します.
ギニアの隣国,リベリアのホシクサ科とトウエンソウ科について述べたMeikle& Baldwin (1952)でもギニアンスタープラントの形質から検索するとE. latifoliumになりました.
E. latifoliumに関する情報はあまり多くはなく,「リボン状で葉幅3~8㎜,葉長5~50㎝,花茎1.3~3㎜,頭花幅8~13㎜,茎は成長とともに伸長する」・・・といった程度の情報しか集められていません.しかし,かつての憶測よりはずっともっともらしい推測だと思っています.
さて...
ギニアンスタープラントブロード,また輸入されるか,もしくはRootsさんのところのタネから増殖されるかしてほしい…です.
(あの(日本最後の?)一株から組織培養されるという展開は…ないだろうな…)
うーん,もしくはどこかの水草ファームが量産してくれないかなあ.
さーってさてさて,次はギニアンスタープラント・ナローですね(おいおい)
Meikle, R. D., & Baldwin Jr, J. T. (1952). Eriocaulaceae and Xyridaceae in Liberia. American Journal of Botany, 44-51.
Phillips, S. M., van der Burgt, X. M., & Kanu, K. M. (2012). Two new species of Eriocaulon (Eriocaulaceae) from Sierra Leone. Kew Bulletin, 67(2), 273-280.