今回は謎めいたアフリカの沈水性カヤツリグサを紹介。
https://plants.jstor.org/compilation/Pycreus.waillyi
生きた個体の写真やわかりやすい図しか見たことがなく、どんな姿で生活しているのか謎めいた存在です。乾いた標本からしかわからない水草は、結構たくさんあります。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:912347-1
分布はマリ、タンザニア〜ボツワナの標高1500-2000mの地域です。
分布が分かれていることから、潜在的にはもっと広く分布するのかもしれません。
本種は1年生の沈水植物で、茎断面は三角形、太さ0.4-0.8mm、高さ5-25cmほどになります。葉は根生で平たく幅0.5-1.5mm, 長さ8-18cmで鋭く尖ります。葉鞘は麦わら色、2.5-4cmです。
花序は無柄の小穂1つと4-5個の有柄(5-8cm)の小穂からなります。小穂は0.8-1.2cm×1.7-2cmの卵形です。
茎も葉も非常に繊細なことから水から出ると自重を支えることができず、水中から花茎の先端だけを出して開花します。
https://www.gbif.org/ja/occurrence/2243201120
なお、PycreusはCyperusから雌蕊が側扁し花柱が2つしかないことで区別されますが、Cyperusに含める研究者も多い様です。そのため今後はCyperus waillyiと呼ばれることが増えてきそうです。
Cyperusといえば、関東某所の水深60cmほどのところで沈水葉で花茎から子株を出してチェーン状に生育していたC. tenuispicaが印象深いです。本種もその様な過程を経て進化してきたのでしょうか。
形態記載は以下の文献から引用、人力で翻訳。誤訳あったらスミマセン。
TROPICAL AFRICAN FLOWERING PLANTS
Ecology and Distribution VOL. 11: CYPERACEAE
サクっと想像図を描いてみました。いつか見てみたいなあ・・・