水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

エゾヤナギモ

<ライト版>

やや大型の水草で,葉幅3㎜,葉長15㎝ほどまでになります.名前の通り北方系の水草ですが,かつては霞ケ浦水系や多々良沼にも生育していました.富士五湖ではかつて最も多い水草でしたが,水質の悪化に伴い激減しました.非常に硬い質感や茎と葉の幅や質感が等しく,茎が著しく平たいために一見したところ葉から葉が伸びているように見えること,花が1心皮であることなど日本産のヒルムシロ属のなかではきわめて異質な水草と言えます.

基本的にヒルムシロ属は地下茎から根を下ろしてよく増殖しますが,本種は地下茎をもたず,殖芽から根を出し,上にひたすら伸びていきます.晩秋になると盛んに分岐した茎の先端に巨大な殖芽を形成し,水底に沈んで越冬し,次の年はこの殖芽から根を下ろして生育します.この生育形態でどれほど増殖できるのかいまいち疑問ですが,エゾヤナギモやイヌイトモなど北方系の(日本では稀な)ヒルムシロ属ではよく見られる生態です.イトモも地下茎を一応持ちますが主に大量の殖芽で越冬増殖するため,これに近い生態であるといえるかもしれません.

透明度の悪化に弱い水草ですが高山の貧栄養湖でも生育する場所はかなり限られ,かつては平野部にも生育していました.このことから同じく北方系であるササエビモやエゾノヒルムシロが優占するような極端に貧栄養な環境も好まないのではないかと思っています.特異な生態・形態をもち,今後も生き残っていってほしい水草です.