水草オタクの水草がたり.

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シラタマホシクサの育て方

今年もシラタマホシクサがよく咲いているので,育て方のメモ.

前もこんな記事書いた気がするけれども気にしない気にしない.同じ記事あるかも.

 

入手

園芸用のシラタマホシクサ苗は大抵出荷時の時点で死にかけているので,採種するに足る状態の株を探すことが最も肝心なポイントである.花茎がまだ生きており,頭花ができるだけ大きい株を選ぶ.蕾の状態で出荷されたものは滅多に種が成熟するまで生存しない.複数株購入するなどしてなんとかして種子を確保することが大事である.

当然のことだが,一年草なので親株が次の年芽を吹くことは絶対にない.

 

採種

シラタマホシクサは基本的に,種子が熟すると花がほぐれる.このほぐれるタイミングを見計らって種子を回収する.他のホシクサ類に比べて種子の成熟にかなり時間を要するため,ほぐれる前に回収すると発芽率が悪い.種はその年のうちに蒔く.一年間でも乾燥条件で保存すると発芽しなくなるため,モタモタはしていられない.

 

用土の準備

シラタマホシクサは年中水がビチャビチャの湿地環境,かつ酸性土壌で鉄分が必要である.用土の通水性は高い方がいい.逆にいえばこれさえ守れれば育つ.王道はミズゴケ+鉄釘だが,パーライト+鉄釘やヤシガラ+鉄釘,鹿沼土などでも栽培が可能だった.基本的に食虫植物と栽培条件は変わらない.当方でもナガバノモウセンゴケモウセンゴケ,ナガバノイシモチソウ,サラセニア・プシタシナ,ハエトリソウなどと同じ容器で栽培している.サギソウなども同じ条件で育てられる.湿らせていさえすればよいので腰水管理で良いが,浮舟式栽培箱も楽である.

 

播種

播種はその年のうちに行う.いわゆる取り蒔きである.イヌノヒゲ類やシラタマホシクサ,オオホシクサなどは寒さを感じないと発芽しないため,遅くとも3月前半までには播種する.時機を逃した場合は種子を分離して2週間冷蔵庫で水に漬け,常温に戻すと発芽する.次シーズンまで種子を保存することはできないためだ.

 

生育期

シラタマホシクサは3月後半に発芽する.発芽時期はホシクサ類の中で最も早い部類で,また種子も最も大きいため慣れれば発芽の時点で他のホシクサ類と区別がつく.本種はホシクサ類の中でもとりわけ移植に弱いが,根が1本~5本程度の発芽初期の段階で植え替えれば特に問題はない.根を傷つけないようそっと引き抜く.前年度に倒れた頭花からうじゃうじゃ生えてくることがよくあり,そのような場合は特に植え替えが必要である.ホシクサ類ではあるが水没は嫌いで,生育期は常に株本以上に水が来ないように調節する必要がある.

成長期は特に管理を必要としない.貧栄養湿地の植物だけに肥料切れには強いが,大きく成長させたい場合にはハイポネックスやプロミックをごくごく少量投与しても良い.

7月には早々に頭花を上げ始める個体が出てき,そこで成長はストップする.そのため3~7月,とくに5~7月が栽培の焦点となる.追肥で対処するより,間引いて株数を減らして対処するほうが良い.花数が多くなるので密植しても疎らでも豪華さは変わらないし,密だと病気(要するに溶け)に弱くなる.(炎天下で直射日光を当てている限り溶けは出ないのだが,室内に取り込んだりすると危ない!)密植になってしまった開花株は輸送に虚弱なので,そのような状態での発送は言語道断である.まだ未開花株の抜き苗の方がずっといい.

 

開花期~結実期

この時期も特に管理は必要ない.放置していればどんどん咲く.自家栽培の株は丈夫なので,ほおっておけば種子をばらまく.敢えて採種する必要もないので,そのまま放置して次の年発芽したものを植え替える方式でも良い.

 

まとめ

最難関は生きたタネの入手と迅速な種まきである.逆に言えばそれさえできれば栽培は容易で,モウセンゴケやサギソウを育てられる方ならだれでも育てることができるはずである.栽培していると稀に,頭花の先から子株を吹いてその上に開花したりする株が出てきたりして面白い.

湿地性ホシクサ類に関しては育て方がほぼ同じなので,殆ど同じ記事をあとでイトイヌノヒゲやゴマシオホシクサについても書く気がする.但し種によって肥料の要求度や水没耐性,種子の耐久性が異なる.同じような環境に生育するホシクサ科が意外に住み分けできているのは,この辺りからきているのだろう.