こんなツイートを目にした.
ニードルリーフルドで流通してるルド、ほぼブレビペスなのってまだ継続してるんかな。国産鉢とか輸入・国産束もどこから入れてもブレビペスだったのだけど。。最終的にADAの水草の森で入手して増やして出してるけど、良い草なのに勘違いされて損してる感否めない。 pic.twitter.com/wjsfRZ326O
— すた。 (@aquariumamasuta) 2022年8月23日
そういえばカッセルマンのAquarium plantsに載ってたLudwigia arcuataもブレビペス的な謎な植物だったし,花も怪しかったよな.(L. arcuataは花弁の柄が凄く長くて,花柄が凄く長くて,打ち上げ花火みたいなんです.)
というわけで,春に海外鉛巻きでニードルリーフとして入荷した変なルドウィジアを入手していたので,計測データを挙げようと思う.
水中,水上葉ともに一見したところブレビペスなのだが,水上水中ともに間延びする.花はニードルリーフっぽい印象であるが,花柄が妙に短い.
計測してみることにした.
全草 無毛で光沢がある.花部のみ艶がない
水上葉 30㎜×7㎜
(L. arcuata; 6-18×1.2-5,L. brevipes; 10-17×2-10)
ガク 約7×2.5㎜
(L. arcuata; 5.2~10×1.5-2.7,3~4:1,L. brevipes; 4-5×1.7-2.8,2:1 )
花弁 あり 約8×5㎜
(L. arcuata; 7-11,L. brevipes;4.5-5.2)
葯 約1.5㎜
(L. arcuata; 1.3-2,L. brevipes; 4.5-5.2 )
花糸 約3㎜
(L. arcuata; 2.5-4.5,L. brevipes; 1.8-2.5)
花粉 未観察
花柱 約2㎜
(L. arcuata; 2.3-4,L. brevipes; 1.1-1.7)
蜜腺の高さ 約0.7㎜
(L. arcuata; 0.6-1,L. brevipes; 0.55-0.7)
子房長 4㎜ 観察する限り不稔,結実せずに黄色くなり花柄ごと脱落する
花柄 13㎜
(L. arcuata; 17-45,L. brevipes; 6-15)
小苞 2㎜~4㎜
(L. arcuata; 1.4-5,L. brevipes; 1-3)
ぱっと見の通り,花の計測値はだいたいニードルリーフだが,花柄が短い.
不稔であることから雑種であろうと思われる.
L. brevipes×L. palustris,L. arcuata×L. repens,L. brevipes×L. repensは花がより小さいし,花柄や花弁がこんなに長くなるとは考え難い.特にL. repens×L. arcuataは所謂並ルドウィジアなので,これとは違う.
L. palustris×L. repensも似た数値を示しうるようだが,イマイチ記述が少なくてこれがどういう雑種なのかよくわからない.水中葉の挙動などからするとL. brevipesっぽい部分が多いため,暫定的にL. brevipes×L. arcuataと推定する.L. palustris×L. arcuataにしても,L. arcuata×L. brevipesにしてもこんなものは自然界ではあまり知られておらず,実験的な交配により僅かに知られるのみである.ファームでの杜撰な管理により生じた雑種が増殖し,元々の親種を食いつぶしてしまったのだろう.
困ったものである.