夏です.水草の季節です.気温が35度を超えると水草にスイッチが入ります.そして一年草の中でも他の草に先駆けて急激に増えだすのが…
トリゲモ類です.
トリゲモ類ってめんどくさいですよね.見かけてもみんな同じに見えます.というわけで簡易的にザックリこれじゃね?という見分け方を今回は紹介しようと思います.
ザックリとした見分け方
葉鞘の基部が
- まっすぐ切れる→オオトリゲモ,トリゲモ,ムサシモ
- 斜めに切れる→サガミトリゲモ(ヒロハトリゲモ)
- めちゃ突出する→ホッスモ
- 微妙に突出する→ヒロハホッスモ,イトイバラモ
- いかなる場合にもイトトリゲモとムサシモの可能性を考慮する
種子の格子が
- 格子以前にあからさまに全体がフック状に曲がってる→ムサシモ
- 横方向にビッチリ→オオトリゲモ,トリゲモ
- 大きくワッフル状→サガミトリゲモ(ヒロハトリゲモ)
- 縦方向にうっすら→イトトリゲモ,イトイバラモ
- 細かいハチの巣状→ホッスモ,ヒロハホッスモ
- (番外編)種子をほとんど付けない→アクアリウムで扱われる無印ナヤス
葉の鋸歯が
- 大きい→オオトリゲモ,トリゲモ,ムサシモ
- 中くらい→サガミトリゲモ,イトイバラモ,イトトリゲモ
- 小さい→ホッスモ,イトトリゲモ,ヒロハホッスモ
- (番外編)見えない→アクアリウムで扱われる無印ナヤス
ちなみに
イトトリゲモは葉の輪生数が多い(5輪生状)ようにみえる場合が多いこと,また小さく「糸状に」華奢であり,種子が1節に2個付くことが多いことが特徴的です.(ほかの種ではこうした特徴は滅多にない).基本的に水田など水深のきわめて浅い場所に生える,インスタントな一年草です.(わずか1~3か月でタネを付けて絶えることが多い)
ムサシモは種子および花の湾曲が特徴的です.うっすら曲がる程度はサガミトリゲモや無印トリゲモでも見かけるので注意!特に後者は紛らわしいです.
サガミトリゲモは種子の格子がルーペ上,頑張れば肉眼でも見えます.基本的に水田など水深のきわめて浅い場所に生える,インスタントな一年草です.(わずか1~3か月でタネを付けて絶えることが多い)
ホッスモは葉の鋸歯が他種より目立たず,のっぺりしています.また,他の葉鞘が微妙に突出する種とは突出ぐあいの格が違います.
ヒロハホッスモは汽水性,葉幅は0.8~2㎜と日本産トリゲモ類で最も広く葉鞘の突出は中途半端です.
熱帯魚ルートのいわゆる無印ナヤスは鋸歯がほとんど目視できないという1点ですべての在来トリゲモ類から区別できます.
イトイバラモは山地性,かなり大型で葉は細めです.種子の格子は縦方向に淡いものがつきます.イトトリゲモとの主な違いは見かけの輪生数とサイズです.
葉鞘の基部が垂直に切れる場合
オオトリゲモです.葉鞘は円筒状をなします.パイプがくっついてるイメージ.日本のトリゲモ類の葉鞘でこんなのを見つけたら,オオトリゲモかトリゲモかムサシモです.
この3者は葉の湾曲および鋸歯が顕著でよく似ています.
オオトリゲモとトリゲモの違いは雄花のサイズと隔壁の有無で,ムサシモは種子および花の湾曲です(ムサシモはあまり観察したことがないので何とも言い難い).
雄花が簡単に見つかればオオトリゲモ!でも現場での見当を付ける上ではいいと思います.無印トリゲモの花って全然見つからなくて,山盛りの謎Najasから結局1輪しか見つけられないとかそんなことも...←それは単に腕が悪いだけ
サイズはオオトリゲ>トリゲ>ムサシ,生息する水域のサイズや標高もこの通りのような気が勝手にしています(あくまでも戯言ですから真面目に受け取らないで).
イトトリゲモが紛らわしい感じになることもあります(イトトリゲモは葉鞘に変異が大きい….とにかくちっちゃくて華奢でタネが1か所に2つついてるのはイトトリゲモです.)
葉鞘の基部が斜めに切れる場合
サガミトリゲモです.ヒロハトリゲモということもあります.葉鞘は斜めに切れており,小さな株でも目視で確認できます.
葉鞘の基部が突出する場合
イトイバラモです.ちょっとだけ突出します.
このように,葉鞘がホッスモのように突出して見える場合もあります.(同一個体です.)そのため本種はホッスモと誤同定されてきた場合もあるようです.
なので,
葉鞘が突出しているものがみられる
→ホッスモORヒロハホッスモORイトイバラモ
と覚えておくべきでしょう.3者まで絞ればあとは葉の細さです.
ホッスモ→広め
ヒロハホッスモ→めっちゃ広い
イトイバラモ→細い
で分別できそうです.(ヒロハホッスモ手に取ったことないですが.)
ではでは楽しいナヤスの季節をお楽しみください.