①〜⑤では、水草水槽がアートとして普及した結果、「使いやすい水草」ばかりが重宝されるようになり、流通する水草の種数が激減したことを述べました。また、育てやすく使いやすい水草ばかりが重宝され、美しくてもちょっとでも癖がある水草は扱われなくなってきているということに関しても、述べました。
現状の水草不振は、NAなどのレイアウトからその次のステップに踏み出す人が居ないことに端を発しているように思います。
かつては(例えばゼロ年代)はレイアウト技術も未熟で、まさに「浅く広く」の黎明期でした。素人目には草ぼうぼうなだけに見えるような「レイアウト」も多く、ADAを除けば芸術として完成されていたわけではありませんでした。
しかし現状ではレイアウトの「土木工事化」…ハードスケーピング…等等をはじめとしてダイナミックでアーティスティックなレイアウトがどこでも誰でも見られる・作れるようになり、レイアウト沼が無限に深くなっているといえるでしょう。
レイアウトを飛び越えて水草コレクトに行く人にとって、レイアウト沼が深くなると、そこを越えることは至難の業になっていきます…。
そして、レイアウト沼のさらにその先にある「見慣れない」水草を使う人はなかなか出てこず、いくつかの使い慣れた「絵の具」のような水草をパレットに載せて、水槽というキャンバスを彩っていくというのが「水草水槽」の現状だと思います。
そして、ファーム側の怠慢により水草の名前とモノが全く一致しない状況はずっと続き、珍奇植物は流行っても園芸的な植物愛好家や、魚愛好家の心を掴むことはできませんでした(園芸や魚の方にとって、モノと名前が違うのは最大の重罪なのです!)。そして、沼を越えた先にいたコレクターたちも「水草から園芸や魚にいくことはあれど、戻ってくることはない」という状況を生み…
2013年ショックから徐々に減っていっていた流通水草の種数は2018年ごろを極に激減し、
「レイアウトは流行っていても、面白い水草などどこにもない…」
という時代を生み出してしまったわけです。
それが今のショップに求められていることかなと私は思っています。
先日、水草レイアウト制作ノート2が出ました。
また2021年、かつてからコレクションで有名だった高城さん、レイアウトで有名だった轟さんが相次いで新ショップを作り、見慣れない水草や無視されてきた水草についてアクアライフやTwitterなどで積極的に発信されていることも、水草業界に差した新しい、いい方向に向かう光明だと思っています。
2022年、時代はいい方向に変わってきているように思います。このまま終わりない冬を越えて春を迎えられるか、水草業界の命運は今年にかかっていると思います。