水草オタクの水草がたり.

水草を探して調べるブログです.素人ながら頑張ります.

Tank worksさんの南米シペルス Cyperus luzulae

Tank worksさんの南米シペルスが咲きまくっている.水上での観賞価値も高く,シペルスとしてはかなり小型で馬鹿でかくもならない.

この株はおそらくイキトス産らしいが,仕入れる以前の段階でマナウス産との混同があったため南米表記にしているとのことだ.ただ一般に流通するマナウス産シペルスとはまるで別物であるため,イキトス産シペルスと呼んで問題ないだろうと私は思う.

正直このように,ロカリティによる呼称はいつか崩壊する運命にある.重要なのはその形態に基づく呼称である.

 

ペルーだとすると厄介だ.ペルーの植物相はそこまで調べつくされていないというか,アクセシビリティが悪い.まあ正直,水生植物,特にシペルスは分布が広いから,正直イキトスでもマナウスでもそう問題は無かろう.だいたい南米に生息していて,水生のシペルスを総なめすれば何とかなるはずだ.

予想としてはシラサギカヤツリにとてもよく似た草姿から最初RhynchosporaのSect. Dichromenaではないかと思ったが,開花してみるとCyperusのものだった.しかも相当派手な花が咲き,Cyperusにしては珍しく観賞価値がある.

 

というわけで,ペルーに分布とされるCyperusの標本写真を片っ端から集めてきて比較,また手元にあった南米の水生シペルスに関する文献から,Cyperus luzulaeに近そうというところまでこぎつけた.しかしC. luzulaeは陸生種では?という疑問が出てきた.

ブラジルの植物検索サイト,Flora do Brasil 2020では水生種と陸生種を分けて検索することができるが,水生種で検索,これでヒットした種を全種GBIFやJSTORの標本写真と比較,やはり似ているのはC. luzulaeだけであるので,ひとまずC. luzulaeで確定でいいと思う(Cyperusの検索表をあまり持ちあわせてないのが惜しいが,ぜったい泥沼になりそうだしあっさり済ませておこう).

 

さらにGBIFでは本種がオオサンショウモやエレオカリスと混生している写真も出てくるので,間違いなく水生種であるとしていいだろう.ちゃんと水中で育つし,現にTank worksさんは本種を水中で生産しているらしい.

 

通名 南米シペルス

別名・略称    シペルスspイキトス

学名 Cyperus luzulae

海外流通名 なし 流通が少なく国内ですら殆ど普及しなかったと思われる

分類    カヤツリグサ科

分布    中米~南米中部

どんな種類?   

湿地や川岸にみられる比較的小型のカヤツリグサ.葉幅はシペルス・ヘルフェリーよりはるかに細く,5㎜程度で細長い.しばらく育つと穂を出し,水中で穂の先に子株を付けて増えると思われる(当方ではそこまでいっていない)水中適応力はそれなりにあり,少なくともホシクサよりは栽培が楽.南米水草であるため,低pHの軟水で育つ.高pHに関しては不明だが6.5程度までは可能なようだ.

水上でもあまり巨大化せず高さ30㎝程度.花は小さいながら美しく,高湿度では花後にエキノドルスのように子株を出す.南米の現地を再現するにあたって本種を超えるものはないと思うくらいには良い水草だ.

野生下での生態

現地写真でも時々本種と思しき小さくて細いカヤツリグサが沈んでいる.でもそもそも普通の陸地にも進出する種.

育て方

水中ではやや色が淡くなり葉も薄くなる.水中での生育はあまり速くないが,止まるわけではない.

水槽以外での楽しみ方

水上では盛んに分けつし,旺盛に増える.葉を数枚出すとすぐ穂をつけるため,葉数はあまり増えない.概形はシュロガヤツリを滅茶小さくしたようなというか,もろカヤツリグサ.

よく似た種と見分け方

カヤツリグサ属の中でもわりかし花序が特徴的.