後景草はもう人気やレビュー件数じゃなくて,好きな水草,イチ押しの水草からやっていきます.
第二弾はブラジリアンフラジャイルプラントです.またもや,えー.という声が聞こえてきそう.でも水草の楽しみ方はADA式のネイチャーアクアリウムだけじゃないのです.チャームで売れている水草はNAで使われるものというより熱帯魚やエビの水槽に使いやすいものばかりだったじゃないですか.
というわけで,NAには使えないけどアクアテラリウム,ボトリウム,さらには熱帯魚水槽でも育てられうるブラジリアンフラジャイルプラントを推していきます.
流通名 ブラジリアンフラジャイルプラント,
別名・略称 ブラジリアンフラジャイル,(別系統同種:サンタレン・バコパ)
学名 Oldenlandia salzmannii (長花柱型)
海外流通名 Hedyotis salzmannii *同名でなぜかバコパモンニエリが輸入されがちであり,輸入品はほぼ偽物であると思った方がよい
分類 アカネ科
分布 南米南部の亜熱帯~熱帯,主にラプラタ流域のパンタナル湿原~パンパ.ただアマゾン流域にも分布はあるようだ
レア度 ★★★★
この水草について
バコパとは似て非なる水草.葉は対性で名前の通り非常に茎が折れやすく,パキパキ折れます.水中葉ではこれにより切れ藻増殖すると思われます.さらに根は透明かつ貧弱で,殆ど土をかみません.水中葉と水上葉の区別はあいまいで水面に達すると横に伸びながら水を出入りするなど,かなりフレキシブルな動きを見せます.水上葉は常湿でも問題なく,アクアテラリウムなどにも使えます.水上葉は水中葉のようにパキパキ折れる性質が弱く,扱いやすいです.
ネイチャーアクアリウム的に使うとなるとその折れやすい性質から非常に厄介ですが,根を張らない(=抜かれてもOK),水面付近を浮遊していればCO2をあまり要求しない,小型である,水面からそのまま突き抜けて育てられるなどの性質はボトルアクアリウムやアクアテラリウムへの適性が高いといえます.
野生下での生態
湿地や川岸などに生育します.低pH水域だけでなく中性の水域にも生育します.現地写真では(ニュー)ラージパールグラス,パラグアイレッドマヤカ,アマゾンオテリア,ボリビアンスター,マヤカ・ロンギペス,各種エキノなどとの混生が見られました.比較的よく映り込んでいる水草ですが,ハコベのような小さく雑草然とした姿から影が薄いです...
私なりの育て方
水槽以外での楽しみ方
ボトリウムでいけますし,パルダリウムてきな水上環境でもよく育ちます.汎用性が高いです.
混同されがちな種と見分け方
本種は長花柱花と短花柱花があり,charmの株は長花柱花で白花,花弁はしっかり開くタイプ,ADA寂び石に混じっていたものは短花柱花でピンク,花弁は開き切らず釣鐘状になるものでした.さらに永代熱帯魚の「サンタレンバコパ」は白花の長花柱花で花弁は釣鐘状でした.おそらくここ迄マイナーな水草でありながら3系統が2021年現在まで生存していると思われます.混ぜないよう注意しましょう.このブログでは三者を別の水草として扱います.
さらに,海外ファームからは本種と詐称してバコパモンニエリの小型品種が送られてきます.他にも育てられそうにない品質の組織培養カップが送られてきたりもしていますが,もう中身が何なのか写真だけでは確認しがたいです.
今のところ日本国内では本物が主に流通しているので,海外からの”Hedyotis salzmannii"を混同して扱って消滅させることがないよう注意が必要でしょう.