はい,今回は衝撃的なタイトルです.
2008年にMicrosorum pteropus (Blume) Copel.がLeptochilus属に移され,Leptochilus pteropus(Blume)Fraser-Jenk.になりました.この結果は2019年の遺伝子解析でも支持され,現在のPlant listでもM. pteropusはL. pteropusになっています.
というだけです.すみません.
Fraser-Jenk, 2008にアクセスできなかったので,形態的にどのような経緯でMicrosorumからLeptochilusに移されたのか見ることができませんでした.うーん悔しい.
さて,レプトキルス・プテロプスはどんな水草かといいますと(それ私に聞きます?),東南アジアに広~く分布する渓流性シダです.西表島に中学生のころ足を運びまして,野生の株を見かけて感動した覚えがあります.
形としては,水に沈むノキシノブのお化けですね.Microsorum属はヌカボシクリハラン属というのが和名なのですが,ヌカボシクリハランも見たことがあります(近場だと,筑波実験植物園とかでも植えられています).たしかにミクロソ...レプトチルス・プテロプスに似た形態ではあるのですが,かなり大型で,名前の通り栗の葉のような迫力です.尚,Microsorum属は健在です.M. pteropusがLeptochilus属に移った格好です.
おなじくLeptochilusに併呑されてしまったものとして有名どころだと,イワヒトデColysis elliptica→Leptochilus ellipticaなどがあります.これも渓流植物ですが,水中に入る種ではないと思います.山野草として売られていますので,新水草を開拓したい人はやってみてもいいかもしれませんね.少なくともパルダの陸上部にはいけるでしょう.
さて,後編に移ろうと思います.
英語圏ではミクロソリウ…レプトチルス!プテロプスはJava fernと呼ばれているんですよね.そして,日本でいうジャワファンはBolbitis heteroclitaとして流通しています.これにかんしては同定の裏を取っていないので,イタリックにしていません.まあ学名風の商品名ってことですね.だって売られてるジャワファンがオオヘツカシダBolbitis heteroclitaと同じなのかよくわからないし,本当に同じだとしたらいよいよ名前を分けないと混乱が生じるので.
海外でのネーミングと日本でのネーミングがずれているのはかなり困った事態ですから,なんとかしたいものですが...何と呼べばいいんですかね.ジャワファンのことと,ミクロソリウm…レプトチルス・プテロプスのこと.
さて,レプトチルス・プテロプスは日本では人気水草なのですがなぜ人気なのか私にはいまいちよくわかりません.確かに丈夫ですし,極端な高温にならず水さえ動いていれば最強(アヌビアスやブセって意外に溶けるじゃないですか,特にここ最近)ですね.木っ端から増えるのも偉い.
あー,そういう面ですね.水草は所詮,魚の添え物が前提か….
ちなみに,”Microsorium”という属はないと思うのですが,いつだれがミクロソリウムと言い出したのでしょうか?
この混乱は今に始まったことではなく,1985年の山田洋「水草図鑑」の時点でジャバファンをBolbitis heteroclitaとしており,ミクロソリウムMicrosorium pteropusをヨーロッパではジャワシダと呼ぶことがあるとの記述があります.いつiが入ってしまったのか,ジャワファンvsプテロプス,この謎は奥が深そうです.