なんだか南米水草の再ブームが来ているようであります(??)
ブセファランドラ,アグラオネマと里芋ブームが何年も続いていった中で上陸が進み,でもやっぱ水草は良かったよな...と陸上から水に戻ってくる,”まるで水草のような水草マニア” が増えてきているのかもしれません.それとも,ブセファランドラの輸出入規制が強くなってブセファランドラ熱が冷めていく中で南米に戻ってきているのかもしれません・・・ほかにも考えられる方向性としては,最近のブーム植物って所詮はサトイモ科とベゴニア属だけじゃないですか,変わったワケワカラン植物といえばやっぱり南米の魑魅魍魎だよな,という方向に進んでいっている人が結構いるのかもしれません.
いずれにせよ,一時は本当に何もなくなってしまったように感じた南米水草が市場に帰ってきています.本当にうれしいです.
しかしながら,ひょっとしてもしかすると私のような一部の限界水草オタクが南米南米とTwitterでピーチクパーチクつぶやきまくっているせいで南米水草キテるかも?と思ったり,そういや南米よかったよなと売り手側が浮足立ってるのかもしれません(??)...だとすれば供給側のテンションばかりあがって需要自体は増えていないことになって残念なのですが.でもそうして店頭で南米水草を目にすることによって”おおこいつカッコいい!!!”と一人でも思っていただければいやあー,うれしいですねえ.
それにしても約20年前の南米水草ブームから今まで細々と累代してきた方々がいることに感動ものです.10年間同じ植物を維持するだけでも滅茶苦茶大変ですし,それが短期間育てるだけでもめちゃ大変な南米水草ですから.
ただそのかいもあってか,日本の気候や水に慣れてかつて言われていたほど難しくない水草が増えているのではないか?と予想しております.あくまでも実測値じゃないですよ.予測値です.
では今年流通を確認した南米水草のリストであります.
☑は私及び友人が入手済み,◎は実物目視,〇は写真確認,△は個人所有の2021年,もしくは写真なし情報,×は別のものに置き換わってしまっているもの,*は雑誌2021など撮影時期がいまいち不明なもの
†は現状不明,絶えた可能性があるもの.
★→現在販売されていることが確実
☆→販売されていると思われる
水生コケ
・マナウス産ウィローモス Hydropogonella gymnostoma ☑★
(Queens moss, Amblystegiaceae sp. Manaus)
南米を中心に生息する属.ウィローモスとしては巨大な丸葉をつけ,一見したところコツボゴケなどにも似た印象を受ける.意外に栽培が難しい印象を受けている…きのせいだろうか?以前入手した株は枯らしてしまった....
このウィローモスにも入れ替わり疑惑があります.728種図鑑の時点では丸葉の大型ウィローモスは「パンタナルウィローモス」で,マナウス産ウィローモスは普通に近い形のものとして紹介されています.まあこの属は南米産なので,そこまでひどい入れ替わりでもないのですが.
・リアル南米産ウィローモス (未同定)☑★
南米産ウィローモス,南米モスとして売られているウィローモスはマレーシア産のフクロハイゴケないしその近縁種が中心であるという.これは南米産の個体とのことだが詳細な産地は不明.南米ウィローモスというより普通のウィローモス的な育ち方をする.もともとはAZ便のエキノと同便とのこと.
†ローライマモス 2018頃までチャームにあったと思いますが見なくなった.
†ボリビアモス 2015頃まで流通があった模様.
†パンタナルカラ パンタナルのシャジクモで,水中写真ではよく見かけるのだが流通していたとは驚き.728図鑑にはあるが現在流通は聞かない.
?モスspピレノポリス ☑
ピレノポリスはゴイアスの地名だが本当にそうかは不明。問屋便。間伸びしたジャイアント南米モスのようなものと、バブルモスのようなものが混じって入荷したとのこと。
小葉植物
ミズニラ目
ミズニラ科
・ブラジリアンクイルウォート ☑ Isoetes sp. (未同定)★
ブラジル産のミズニラ属らしいが詳しいことはわからない.大胞子が網目状なら同定は諦めモード(まだチェックしてない).日本のミズニラに比べて葉がつやつやしていて硬く,根も透明感がなくがっしりしている.そもそも南米なんでしょうかね?海外でこの名前のミズニラが流通すると聞いたことがないのに海外便で入ってくることがあるらしいという謎...たとえば,ヨーロッパのIsoetes velataである可能性をまず除外すべきですなあ….ただそれが除外されても南米のミズニラが全く未整理なのでブラックボックスです.安いには安いなりの理由がありますね.
追記 サウスブラジリアンミズニラの可能性が高そう。国内ファームで生産あり。
・パンタナルクイルウォート ゴイアス産 Isoetes panamensis?
〇★
Rootsさんで扱っている.なかはらさんの写真によれば大胞子はTuberculateで,Isoetes amaznica, Isoetes ovata, Isoetes serracarajensis,I. panamensis,I. gardnerianaなどまで絞り込めます.突起はかなり細長く柱状であり,25~50枚/株,蓋膜が未発達,他の同定形質である小胞子の突起がどうかは不明なもののI. panamensisが近そうだと思うのですがどうでしょう.ただし葉長が1m級になるというのは不自然です.(20~40㎝)日本のミズニラのように水中だと大型化するのかもしれませんが.分布もゴイアス州としてよさそうです.
(Pereira, Brotto &Lebiak, 2021
https://doi.org/10.15560/17.1.63 )参照
大葉シダ植物
デンジソウ目
サンショウモ科
・オオサンショウモ Salvinia molesta◎★
いわずとしれた定番浮草.小型個体がしばしば「サンショウモ」として流通しているが葉の丸さが違う.よく似たサルビニアはいくつかあると聞くが,たぶん複数種は流通していないと思う
・サルビニアオブロンギフォリア Salvinia oblongifolia△
巨大化するサルビニア.以前はチャームで100株単位で売っていたが最近はない.問屋への入荷はまれにあるそうだが,需要がなく,また状態も悪いとのこと.
†サルビニア ミニマ Salvinia minima
比較的最近まであった。老舗の熱帯魚屋のどこかに浮いているのではないかと狙っている。
† レグネリディウム
二枚葉のデンジソウ.高城さんのところに入ったようだが現状はどうなのだろう.今度Waterplantsloverに行ったら聞いてみようかな.
ウラボシ目
ミズワラビ科
・ネグロウォーターファン Ceratopteris pteridoides ☑★
浮葉性の巨大ミズワラビ.ホテイアオイと並んで流通する中では最大級の浮草で,直径30㎝を超える.特に低pHを好むわけではないが肥料の関係上か水槽を選ぶ印象.意外と難しいが,水草に振っていない水槽でもよく育ったりする
科不明
・ミクロソリウム ミナスジェライス パラカツ川産 ◎★
ミクロソリウムっぽい水生シダ. 一度見たことがあるけどミクロソリウムにしか見えなかったのでスルーしてしまったが,後悔.
・ゴイアス産シダsp ◎ ☑
ボルビティスっぽい草.コケシノブの仲間な気がするが育てられそうな気がしなかったのでスルーしてしまったが,後悔.
→入手しました。ブラジリアンアクアファンによく似ている。
† ブラジリアンアクアファン
マナカプル産の水生コケシノブ?.728図鑑以降聞かない
スイレン目
スイレン科
スイレン属ヒドロカリス亜属 Nymphaea subgenus hydrocallis
水中葉を多く出しランナーでどんどん増える水生傾向が強いスイレンの一群.南米で多様化しておりほとんどは白花で夜咲,芳香が強い.
・サンタレンドワーフニムファ Nymphaea cf. gardneriana ☑★
(サンタレンチェーンロータス)
ヒドロカリス亜属で最も有名.浮葉をあまり出さずランナーでの増殖率も高い.花の写真も見たことがあるが実に美しく妖艶な形をしている.
Nymphaea gardneriana ”Santarem"として流通しているが,この亜属はやけに種類が多く同定はかなり厄介である.いちおうモノグラフは持っているので咲かせ次第同定にチャレンジはできるのだが,めった咲かない.ウーム.
・タパジョスレッドニムファ◎★
これも有名どころ.葉が三角形に近く真っ赤である.こう説明するとタイニムファみたいに聞こえるがもちろんタイニムファではない.ランナーで増えるらしいが育てたことはない.本種に見えるニムファが「タイニムファ・ミニ」などと称してヤフオクに上がっているので,今後流通が混乱するかもしれない.
最近よく見る気がする.N. proliferaだという噂をスルーしてから聞いた.うっそだったら買って育ててみるべきだったと後悔.花から出る子株というキモくてキモくてキモイ増え方を本当にするのなら見てみたい....葉の網目模様と浮葉がショッキングレッドなのが特徴.N. proliferaはニムファspゴイアスだという話もある.うーん.
・ニムファ グランダリフェラ Nymphaea cf. glandulifera ☑★
ヨーロッパでは割と普及しているらしい?そだってくるまでわからない.
・ラビットイヤーロータスNymphaea oxypetala◎★
所謂ラビットイヤーはパンタナル産かな?でっかくなるけど沈水葉しか出さない,ミズオオバコ系スイレン(笑)ライトグリーンが美しい.
・ゴイアス産ラビットイヤー☑★
現存するとは思っていなかったのですがまさかの遭遇. ランナーの先につけた球根で増えまくるそうです.ラビットイヤーとはちがう印象を受けましたが、種レベルではなさそうです。成長は速く,結構育ってきました.葉の赤みがノーマルに比べてだいぶ強いようです.やや小型なのでは?と思いましたが気のせいかも.葉縁はノーマル程はカクカクしませんね.レヨンベールアクアにある方です.
・ニムファspゴイアス Nymphaea prolifera☑★
茎に毛が生えていたりして面白いです.そもそもHydrocallis? 今後に期待!
RootsさんはNymphaea proliferaだと仰っていました.たしかにゴイアスのN. proliferaが流通していたことがあるようです.これだとしたら面白いな.外で浮葉メインに育てるべき代物ですね.本当に南米のスイレンは面白い.
・パンタナルレッドスポットヌパール☑★
今後に期待!
チャーム
・ニムファ イキトス○★
花上がりがいいという話を聞いたので、入手したらぜひ咲かせて見たいなと思ってます。
2020までは流通確認.たぶんあると思う.
・オオオニバス Victoria amazonica〇★
種子がオークションに出がち.日本で累代している個人は少なそう...
†ゴイアスラビットイヤー(728図鑑のもの)
†ブラジリアンヌパール
ハゴロモモ属 Cabombaceae Cabomba
ジュンサイとカボンバって近いんですよ.というかこの科で浮葉メインなのはジュンサイ Brasenia schreberiただ一種のみなんですよ!
・レッドカボンバ Cabomba furcata ☑★
Cabomba furcataはカボンバの中でも最も特異な種で,葉が3輪生で葉の第一分岐が3を基本とするという2点で他のすべてのカボンバから区別されます.赤いのは特徴じゃないのかって?南米においてカボンバはどの種も基本的に赤いんです.緑のカボンバというのはC. carolinianaのみで非常に例外的です.
・イエローカボンバ1 Cabomba aquatica (sensu lato)【大型で葉が黄色いタイプ】◎★
・イエローカボンバ2Cabomba aquatica (sensu lato)(小型で葉が赤みがかるタイプ)☑★
Cabomba aquaticaもカボンバの中では特異な種で,黄花で浮葉が小判型です.しかしながら隠ぺい種が多いようで,まったく違う見た目に見える個体の写真もしばしば見ます.今後大混乱になるかもしれません.アクアルートでは現在大小2タイプが流通している気がします.あくまでも気がします.
・ベレンレッドカボンバ1 Cabomba haynesii?(オレンジ系で直立)〇★
・ベレンレッドカボンバ2 Cabomba haynesii? 【匍匐し紫がかるタイプ】△
正直私はどちらも同じだと思います.
・パンタナルグリーンカボンバ Cabomba caroliniana?◎★
南米におけるのこり2種のカボンバは浮葉が細長く糸状に近く,葉は対生です.Cabomba haynesiiとCabomba carolinianaは違いが非常に微妙です.浮葉の細さが異なるという説もありますが,葉の基部が違うなど.C. haynesiiは基本的に赤くて赤花でC. carolinianaは緑で白花ですがC. carolinianaにもメキシコとかに紫のやつがいたり(var. pulcherrima).
ベレンレッドカボンバに二系統あるかどうかはいまいち不明ですが,どちらも今年まで残っています.詳細な観察が必要だと思います.
アカネ科
・パンタナルピンクムグラ Diodia kuntzei◎★
日本にも帰化しているメリケンムグラに近縁な水草です.メリケンムグラも沈水耐性があるので,頑張って育てればいけるのかもしれませんね.尚,グリーンタイプは現存するか不明です.
・ブラジリアンフラジャイルプラント Oldenlandia salzmannii ☑★
ケニオイグサやフタバムグラに近縁な水草です.軟水低pHでは非常に丈夫で,下手に植えようとせず適当に浮かせておくだけで強健でどんどん増えます.しばしばバラバラになってあちこちから生えてくるので,雑草扱いになってしまうことも.水面を容易に突破し水上葉をつくります.アクアテラリウムにもいいと思います.水上では茎が赤くなります.別名の通りバコパに似ていますが花はフタバムグラの類のそれです.
花は白花の長花柱花で,前後長は短いです.
・バコパspサンタレン Oldenlandia salzmannii
Oldenlandia salzmanniは個体により花の差が大きく,別系統で何回か輸入されたことが伺えます.サンタレンは長花柱花の白花で,前後長は長く釣鐘状です.
・ADAの謎Oldenlandia salzmanni
寂び石に混じっていたもの.Oldenlandia salzmanniですが短花柱花で前後長が長く,花はピンク色です.謎です!どこから来たんだ.ADAの商品には時々とんでもないシークレットが入れてある可能性があります.
・ルドウィジアインクリナータ Ludwigia potamogeton(Ludwigia inclinata) ◎★
・インクリナータグリーン◎★
・インクリナータ パンタナル〇★
アマゾンの水生ルドウィジアの代表的なものです.意外にアマゾン流域は沈水ルドウィジアに乏しいのです.しかし名前に関しては混沌としています.
インクリナータとピンネイトが全然似てないよというのは私に限らず思ったことがあると思うのですが,(たとえば茎の太さ)どうもインクリナータとして記述されている個体群はピンネイトの方であるようです...ということは所謂インクリナータは一体?.こういう葉が対生で細長く,茎が膨らまない個体群をLudwigia potamogetonという場合もあり,シノニムとされる場合も多いのですがアクアリウムで扱われるインクリナータを表すには適切な名前なのではないかと思います.キューガーデンのリストではアクセプトされているのでこちらを用いました.
名は体を表します.酸性水域のポタモゲトンだと思って扱うべきです.つまり水面に到達してからが本領発揮なので,水面に到達する前に切ったり,水面に届いているから切ったりすると調子を崩していきます(失敗者からのコメント)
・パンタナルレッドピンネイトLudwigia inclinata ☑★
・アラグアイアグリーンピンネイト◎★
インクリナータの輪生型です.Munzはこのような輪生する個体群をLudwigia verticillataとして記載していますが.一般的にはL. inclinataの一型とされがちです.そもそも記述にあるL. inclinataは市販のインクリナータにどのくらい合致するのか?という疑問もあります.ほかにもKasselmanはキューバルドに対してL. inclinata verticillataと命名しています.でも,基本的にインクリナータは下部の葉が輪生するらしいのです.(Ramamoorthy, 1979)
つまり,所謂インクリナータのほうがむしろ怪しい.アクアリウムの流通名が混乱に拍車をかけている一例と言えそうです.
・ニードルルド サンパウロ Ludwigia brevipes? 〇
本当に分布あるのでしょうか...水中葉の写真しか見ていませんがL. brevipesに見えます.南米にはこのような対性のルドウィジアは分布しておらず,きわめて怪しいです.しかしまずやるべきことは,実物を手に入れて育成しつつ文献を集めることです.
・ルドウィジア セドイデス Ludwigia sedoides◎★
コビトヒメビシです.最高にかっこいい水草です!でも寒いのはダメ.意外にきれいに育てている人が少ないので,やってみたいところです.
・ルドウィジア フローティングプラント Ludwigia helminthorrhiza◎★
白玉浮草として流通することも.意外にケミズキンバイによく似ていますが葉脈や葉の概形が違う…でも私は結構悩むことが.
アリノトウグサ科
フサモ属Myriophyllum
・ミリオフィラム マットグロッセンセ ◎★
・ミリオフィラム ローライマ ◎★
このあたりの名前については詳しくはのべたくありません.
アワゴケ科
・南米ミズハコベ 多分Callitriche deflexa.もしくはCallitriche terrestris. 〇★
分布とサイズからしてCallitriche deflexaかアメリカアワゴケだと思いますが,アメリカアワゴケが水中栽培可能という話は聞かないですしうーん.ブラジルから記録があるもう一つの種,Callitriche rimosaは大型で,スケール感が異なります.爆発的な増殖と衰退を繰り返し,低温が好みです.美しいということではこの上ない水草ですが,帰化が怖いので注意です.げんにそこらじゅうアメリカアワゴケだらけになってますし.
イネ科
スリナムパープルグラミネア〇☆
(スリナムパープルバンブーグラス)〇
育てている方がまだいらっしゃるようですが,流通は姿を消しました.戻ってくる日がきたらいいな…
オオバコ科
バコパ類 Bacopa
・バコパ オーストラリス Bacopa australis ◎★
オーストラリアではなく南の種という定番ネタ.見た目の割に結構大きくなる水草なので育てたことがまだないんです.強光だと這うので,Newラージパールグラスなどと合わせて遠近法に使えないのかな?と思っています.
・ペルーの草 Bacopa sp. ☑
おそらくB. carolinianaかB. salzmanniの地域変異では?ノーマルのB. carolinianaとはよく似ているが葉がより細長く,鋸歯もややはっきりするので違いそう.早く育てて水上化させよう.水上化したけどまだわからない.花を咲かせましょうか.
・アラグアイアパープルバコパ Bacopa salzmanni◎★
・バコパspローライマ(1)Bacopa serpyllifolia◎★
海外では”Bacopa sp. Japan"として流通することもあるそうですが,日本ではめちゃくちゃ影が薄いです….現在流通するバコパspローライマはもともとのバコパspパンタナルではないかとする推測もある模様.B. serpyllifolia自体は結構分布広いしどっちでもありうるような.水上葉,水中葉ともに少しOldenlandia salzmanniiに似ている雰囲気を受けます.しかし花は全く違います.
・バコパspローライマ(2)Bacopa cf. australis?
多分オーストラリスが混同されているようにも見えますので,要検証です.
・バコパspローライマ(真のローライマ)
葉が内向きにカールして葉巻状になり,下にカーブします.2021現在もごくまれに残っているようですが,本物はきわめて稀少です.最近安く売られているからといって手放さないでください!
・バコパspサンタレン Oldenlandia salzmannii
→アカネ科 ブラジリアンフラジャイルプラントを参照のこと.
・バコパ ミリオフィロイデス Bacopa myriophylloides ☑★
推し水草です.まず葉がとにかく細い.匹敵するものといえばエグレリアとラジアルヘアーグラスくらいのもので,こいつらは高級品なのに本種は安い水草です.そして真面目に育てている人が少ない.好適条件ではかなり赤くなることすら知られていないくらいに.ついでに水質への適応幅が広いのか現地写真にしょっちゅう映る.つまり中性系から酸性系まで,アマゾンの魚には本種を添えておけば現地風になります.イメージは南米版リスノシッポ?
・イエローバコパ/ジャイアントバコパ/イエロー斑入り Bacopa lanigera?★
現在流通のものは 少なくともB. egensisではないと思います.正体不明のなにかです.海外ではB. lanigeraと振られることが多いようですね.ちなみにB. egensisはヒシモドキみたいな草です.バコパはまだまだ勉強せねばと感じます.
クオレファームに在庫がまだあるようです.
パールグラス類 Micranthemum
現状流通はすべて広義のM. umbrossumと思われる
・ラージパールグラス◎★Micranthemum umbrossum
ラージパールグラスです.一般的な水草ですし最高に美しいですが,最近のレイアウトではあまり見かけませんね.ちなみにニューラージパールグラスより低硬度に強い印象を受けます.
・ラージパールグラス・サンパウロ〇★ Micranthemum umbrossum
(南米ラージパールグラス)☑★
ラージパールグラスより小さく葉が三角形に近いです.成長も遅めで,密に植えると下葉が落ちます.下位互換じゃないかとか,言わないであげて….水中で閉鎖花をつけるという特異な性質を持ちます.
・ニューラージパールグラス Micranthemum tweediei◎★
・ニューラージパールグラス立ち性タイプ ? 現存しそうという噂が.
うちでは栽培がいまいち苦手で,茎だけになっている印象.体力があり丈夫ですが超軟水環境では本領を発揮できないのかもしれないと思っています.
リムノフィラの類
本来分布していないが帰化しておりそれが輸入されてくるのか,産地偽装か不明.本来分布していないものの帰化していること自体は本当です.
・リムノフィラ”ベレン”○ 本当に南米?
•リムノフィラspピンク/ブラウニー☑→オーストラリア産
なんで本来東南アジアにいるはずのキクモ系が南米から来るんだと疑問に思ってたんですが、ここのところ学術サイドからも南米の各地からキクモのレコードが上がっていて、実は居たのか最近の帰化なのか気になっています。 そのため、産地偽装ともいいきれない気がします。
オモダカ科
・*タイリンオモダカ(分布の首座は南米)☑★
園芸用として売られていますが影が薄く,筑波実験植物園の写真しか出てきません.筑波実験植物園の個体は葉先が変に丸まっていますが,本来ああいう植物ではないです.
・*サジタリア・ラティフォリア(分布の首座は南米)☑
園芸用としてまれに売られますがもっと影が薄いです.
・ウォーターポピー◎★
水草というより園芸植物ですね.キバナオモダカに近縁で,最近はオモダカ科に入りがちです.
・テネルス Helanthium tenellum◎★
・マデイラテネルス Helanthium tenellum◎★
・ヘランチウム・アングスティフォリウス Helanthium tenellum◎★
・テネルスロングリーフ Helanthium tenellum○
細くて長い,ランナーで増える.テネルス.現地写真でもよく見かけます.真っ白な砂に群生していたりする姿は本当にきれいですし,湿地に生えているものも見ます.
・チェーンアマゾン Helanthium bolivianum ◎★
幅が広くてランナーで増えるやつらです.あまりロカリティ付きを聞かない気がします.
・サンフランシスコのピンクテネルスHelanthium bolivianum☑
・ブロードリーフテネルスHelanthium bolivianum☑
・エキノドルス オパクス
・エキノドルス イグアス2009◎
・エキノドルス サンタマリア2001△
・エキノドルス サンタマリア2003△
・エキノドルス ケリュケイオン2007△
・エキノドルス ウルグアイエンシス(Typeホレマニー)△
・エキノドルス モンテカセロス △
・エキノドルスspテレスピレス △
・エキノドルスspアルタミラ △
・エキノドルス ギアナルブラ〇
・エキノドルス デクンベンス△
・エキノドルス グランディフロルス◎
・エキノドルス グラウカス△
・エキノドルス スーパーレッド△
・エキノドルス インボイスなし 深緑系で薄青色の花 水草苑限定発売品
・エキノドルス ロングリーフ ◎★
エキノドルス ホレマニー(元祖)◎
・エキノドルス ホレマニー’(赤い斑が入る)*
・エキノドルス ホレマニー ブラッドレッド 〇
・エキノドルス ホレマニー ダークグリーン 〇
・エキノドルス ホレマニー ダークグリーンヴェルデ △
・エキノドルス ホレマニーレッドエッジ△
・エキノドルスsp サターン ゴンサロ △
・エキノドルス ホレマニー AZ1110-26RS
私はエキノドルスに詳しくないので産地付きこんなのあるよという方いれば教えてください.
カヤツリグサ科
・サルバドールカールラッシュ◎ Eleocharis sp.
懐かしの水草ですが今も維持していらっしゃる方がいるとは!Twitterで拝見して感動しました.でも種は落とせてません.まだ国内に数株はあるようですが,いつまであるのか….
・ラジアルヘアーグラス Eleocharis cf. confervoides→Eleocharis sp.
☑★
南米の水中写真では時々見かけるとびきり変な草です.ケサランパサランがどんどん増えていくような水草で,絹糸のような煌めく極細の葉がケサランパサラン状になっておりそこから根とランナーが出ます.ランナーなのか茎なのかはかなり微妙です.絹のように細い葉的なものは実は茎です.もうワケワカラン,それが南米の最高なところですね!
ラジアルヘアーグラス=E. confervoidesだと思っていましたが、やや分岐パターンに違いが見られるようです。また、ラジアルヘアーグラスと酷似した個体の開花写真を見るとE. confervoidesとは異なる花が咲いていることから、E. sp. に戻しました。当該写真はEleocharis pedrovianaeとされていますが、記載論文が入手でき次第チェックしたいと思っています。
"E. confervoides"は多くの沈水性Eleocharisと混同されてきたようで、今後多くの変更があるかもしれません。(例えばE. eglerioidesなど…E. confervoidesとは分岐パターンが異なると書かれていますが、写真や図が欲しいところです。)
ローライマ産でしょうか(ピーシーズ2700図鑑より)
・エグレリア マナカプル産 Eleocharis fluctuans☑★
ネグロ川を埋め尽くすように生えているエグレリア,南米の水中写真ではおなじみの種です.茎がジグザグに伸び,ラジアルヘアーグラスに似た葉がその節々につきます.自生地ではもこもこと絡まりあっていることが多いようです.レイアウトに使うときの参考になる・・・かな?
・アラグアイアヘアーグラス Eleocharis minima/retroflexa complex ☑
いわゆるエレオカリスミニマです.南米版エレオカリスビビパラのような水草で,アマゾンの水中写真ではトップクラスによく見かけます.しかしながらどうやら多くの近似種がいるようです.
・エレオカリス クシングア Eleocharis sp. ☑ ★
昔っからあるシングー川のエレオカリスです.しかし誰も同定したことがなく,だれもネイチャーアクアリウムに使ったことがない気がします.だれかー...茎が扁平でびっくりです.
・南米シペルス Cyperus luzulae☑
Tank worksさんのもの.もとはおそらくイキトス.水中栽培が可能だが水上の方が容易.小型のシペルス類であり,アクアテラリウムにも重宝しそうだ.
・ラージナヤス Rhynchospora albescens ☑★
・ラージナヤス・サンタレン産 Rhynchospora albescens 〇★
ミカヅキグサ属の珍草,シラサギカヤツリに近縁です.プラチナソイルの箱絵になっていることで有名(?)もう数年見かけていませんでしたが去年あたりから急に復活しました.
・シペルスspマナウス産
個人所有の株を見かけて非常に驚かされました.現存するとは….
キツネノマゴ科
アラグアイアレッドシャープリーフハイグロ ×
現在流通する個体群は水中適性が低くあまり匍匐しない.おそらく海外産オギノツメの一型.そもそも初入荷がどんなものだったのかなど謎が多い.
スタウロギネレペンス Staurogyne miqueliana?☑★
トロピカさん,コレはS. repensじゃないですよ…...真のレペンスはたぶんアマゾンハイグロです.水上葉が毛深く短いのが特徴.水上では咲くことがありますが,やっぱりS. miquelianaで間違いないでしょう.S. repensとの違いは水上葉が有毛であること,葉は丸みを帯び長くならないこと,通常の上に伸びる茎の先端に花をつけること.花穂の苞葉は小さいこと.つまり見える特徴全部がインボイスに矛盾しています.
レイアウトに関して,定番化していることからわかるように良水草です.意外にスペースをとるので,ストックする場合,水中よりも水上葉でキープするのもアリかもしれません.
・アマゾンハイグロ Staurogyne cf. repens もしくはS. spraguei ◎★
・アマゾンハイグロ マナウス産 ☑★
・アマゾンハイグロ ベレン産 ◎
学術上は幻の水草.最後の記録は1908年です.(なんだってー!?)水上葉には毛がほとんど生えず細葉,半水生~水生です.葉をあまりつけない花穂が直立するのが特徴的ですが,まだ咲かせられていません.不思議なことに幻な割にはいろいろな産地が流通しています.まだ咲かせていないので咲いたら違うものかもですが,非常に近い種でしょう.
レイアウトに関して,スタウロギネspに比べて間延びします.成長は遅いといわれがちですが,サトイモ系に比べればまあまあなスピード感です.頑丈なので,ちょっとしくじったくらいでは枯れません.葉が溶け始めると離層を形成するので葉をもぎ,葉が全部落ちても浮かせて慣らしていけばなんとかいけます.中景草にはいいと思います.マナウスとベレン・無印にも違いがみられるので,混ぜないようにしつつ違いを生かしたレイアウトもできそうです.
・アマゾンハイグロ レッドライン Staurogyne miqueliana. ☑★
水上葉は毛深く,他のアマゾンハイグロとは別種であるのは間違いないですがそこからの決め手をまだ得られておりません.→S. miquelianaでよさそうです.
レイアウトに関して,地下茎モドキから垂直な短い茎を立てていく珍妙な伸び方をします.増えるスピードはサトイモ系と同じくらいで,あまりトリミングしないレイアウトに向いていると思います.結構タフな印象も受けますがどうなんでしょうね.サトイモ系やジメジメ系植物に近い魅力を持った水草なので,一周まわっていま受けそうな気がするんですけどね.
・ボーグハイグロ Hygrophila costata☑
ようやく入手できました.たぶんH. costataじゃないのかなと思ったんですがどうなんでしょうね.少なくともいつものH. corymbosaやオギノツメ系ではないようなので,咲かないものかとワクワクしています.H. costataにもものすごく多様性があるので,そうしたものの一つではないかと思うんですけどねえ.ところで,Hygrophila violaceaってなんなんでしょうね.そんな学名はないと思うので,デナリーあたりが商品名として付けたのが独り歩きしてしまっているんでしょうかね.
・ジャイアントハイグロフィラ Hygrophila costata ☑★
花を咲かせたところ現在流通する国内ファームのものはH. costataのようです.中南米に広く分布するハイグロフィラです.エキノドルス類などと合わせてエンゼルフィッシュなどのレイアウトによさそうです.ところでH. guianensisが最近復活するという話がありまして,もしそうだとしたらH. guianensisとH. costataの中間的なこれはどうなってしまうのやら.
ハイグロフィラ・グイアネンシス Hygrophila guianensis?☑
ちゃんと水中葉を形成する優等生.購入したショップ曰く,普通のラージリーフハイグロやツーテンプルより育てやすいとのこと.
フルールからのポット由来の株も入手した.
・ハイグロフィラ ビオラセア(葉柄あり)◎☑
こちらも水中傾向は強いものの、直立するようです。イスラエルのオスラシア,デナリーから入荷があった模様.最近では入荷もないですが,某店のレイアウト水槽では盛大に茂っているようです.売っているのかどうかはわかりません.ハイグロspパンタナル/パンタナルツーテンプルと混同・置き換わった可能性がある.
・ハイグロフィラ ビオラセア(葉柄あり)☑
デナリーの株を維持されたもの.まだ一応存在するようだ.
・パンタナルウェーブリーフ 〇
これまたStaurogyneで、アマゾンハイグロに近いのではと予想します.葉柄を持たないビオラセアとして流通している何かが本種の末裔ではないかと思っています.海外でStaurogyne stoloniferaとして流通しているものがパンタナルウェーブリーフとして輸入されてきますが,オリジナルのものと同じかはかなり微妙です.私にはアマゾンハイグロの葉が細めのタイプであるように見えます.S. stoloniferaは2~9㎝×0.2~0.7㎝(つまり,長さ=幅×10程度)のきわめて細長い葉をもつ種であり,この学名も怪しいように思いますが,ちゃんと育った株を計測してみないと何とも言えません.個人所有の株はまだ存在するように思われます.
→? ハイグロ ビオラセアとして流通する細葉・葉柄なし種☑︎
ビオラセアとして売っていましたが別物です.パンタナルウェーブだと思っていましたが,アラグアイアナローハイグロかアラグアイアツーテンプルでは.
一見似ているようですが、アマゾンハイグロより一回り大きい程度~葉長10㎝で匍匐枝と直立枝を持ちます.さらに一般的なアマゾンハイグロがごわごわした、水中葉というには抵抗があるような葉を展開するのに対して本種の葉は滑らかかつしなやかで、完全な水中葉のように感じます。新熱帯区のStaurogyneは非常に良い資料があるにもかかわらず、いまだに正体不明なものばかりです。栽培増殖させ、いずれは同定を楽しみたいものです。
・アマゾンハイグロ・パープル☑
最近流通が復活傾向ですが,こちらでは順化に手間取っています.まあアマゾンハイグロなので,葉が全部落ちて茎だけになってもそのうち復活するでしょう.やっぱり生えてきました.
†南米ラージリーフハイグロ
・アラグアイアツーテンプル◎
現存を確認しましたが,タイミングが悪く未入手です.葉は緑色なのでアラグアイアナローハイグロの方ではないか?という気もしますが.他のインボイスで元のアラグアイアツーテンプルらしきものが現存しているのも確認しています.
・アマゾンハイグロポルトベーリョ
アラグアイアツーテンプルとアマゾンハイグロを足して二で割ったような水草.直立茎は短くやたら伸びていかない.葉も比較的小さい.
コミカンソウ科
フィランサス フルイタンス ☑★ Phyllanthus fluitans
コミカンソウ科コミカンソウ属はありとあらゆるタイプの種がいるといっても過言ではないです.その中で,フィランサス・フルイタンスはおそらく唯一の水草です.本種は乾季には陸上の有茎草として生育し,雨季になると浮かびます.イチョウウキゴケに近い生活史といえるでしょう.陸上で育てる方が容易という話も時々聞きます.
シソ科
・パンタナルヘミグラフィス☑★ Hyptis lorentziana
(ヘミグラフィスspパープルラウンドリーフ)
水生ブッシュミント.ヘミグラフィスとは関係ないです.水上葉はかなりの大きさになるらしい.
†パンタナルヘミグラフィス・トライアングルリーフ
*海外:Hyptis laciniata*
ホトニアのような姿をした奇妙なシソ科植物.海外ではコロンビア産がまだ現存するようですが,日本には未入荷.
・ウォーターカーナミン Clinopodium brownei☑
分布域に南米も含まれます.南北米に広く分布する半水生シソ科植物です.リンデルニアではありません.シマウリクサでもありません.南米水草というのかは微妙ですが,南米モチーフの水槽で使ってもOKです.選択肢が広がります.
セリ科
・ロングリーフコブラグラス☑★
巨大な節がはっきりとした植物です.水草として美しいかは別として,珍妙植物のジャンルです.すごく変な植物です.ランナーでよく増えるようです.耐寒性はどうなんでしょうね.Lilaeopsis maclovianaといわれていますが,この仲間はバリエーションが大きくいまいちわかりませんね.コブラグラスも資料はげとーしたんですけどねえ….
・ブラジリアンコブラグラス ◎ ★
最近よく売られていますが,あまりレイアウトに使われている例を聞きません.コブラグラスの検索表は入手済みなのですが結構難しそうです….
コブラグラスに関しては具体的な産地の個体群をあまり見たことがない気がします.いや,たぶん絶えちゃっただけだ.
・シウム フロリダヌム *
現存するという噂があります.驚きです.
・ブラジルチドメグサ
(ハイグロコタイル アクアティカ)
1996時点で消えかけていた,早期に消えつつあった南米水草である(日本と世界の水草カタログ 1996 最近では見かけなくなった),(同1998,最近市場で見かけなくなったとのこと)が,九州の水辺に現存して猛威を振るっている.なにそれこわい.
・ポリゴナム サンパウロレッド Persicaria cf. hydropiperoides◎☑★*同名の偽物が流通しつつあり警戒を要する.偽物はアオヒメタデやサイコクヌカボ的な何かで,赤みはspピンク以下
本物は葉が短く,水上葉に紋が入ることは無い.水中葉は他に類を見ないショッキングピンク.
・ポリゴナム マナウス Persicaria sp.〇☑
大型のタデ類.P. hydropiperoidesの変異な気もするので気を付けながら管理している.
ツユクサ科
・パンタナルクリスパグリーン ☑★ Murdannia engelsii
・パンタナルクリスパレッド ◎★Murdannia engelsii
日本に生息するイボクサに近縁な水草.イボクサは基本的に突き抜けるだけですが本種は明確な水中葉をもち,簡単に水中化して斜上しながら育っていきます.一方でいったん水中化するとなかなか水上化しません.栽培は少し癖があるもののそこまで難しくはなく,グリーンタイプを中心にホームセンターなどで売られることもあります(たとえば深谷ナーセリーなど).南米有茎草としてはきわめて一般化した種といえるでしょう.栽培はそこそこ容易です.でも簡単かといわれると微妙.
グレートモス Elodea najas◎★
パンタナルドワーフラガロシフォン Apalanthe granatensis??☑
正直同定に自信がありません.その小ささからするとA. granatensisが怪しいけど咲かないしなんかカールが強すぎるし...フライングフォックスに食われがちで咲くどころじゃないのが現状.
アマゾンオテリア Ottelia braziliensis〇★
南米に分布する唯一のミズオオバコ類で,アフリカンオテリア,ギニアンオテリアとして知られているOttelia ulvifoliaに極めて近縁であることが知られています.現在も維持されている方が複数いるようですが,2020年代の市場からは姿を消しています.
→AZ便のものが現存するよう.白花はおそらく南米産ではない.
アマゾンフロッグピット ◎ ★Limnobium laevigatum
ドワーフフロッグピット◎ ★Limnobium laevigatum
最近混同されつつある感じがします.アマゾンフロッグピットの方が斑が少なく,フロートが薄く先端がややとがる印象を受けます.両方まだ売ってはいますが,ドワーフの方をよく見ます.アマゾンを持っている人はキープを考えた方がいいかもしれません.(まだ消え切ってないけど,人々の意識からは消えてるよ・・・!)
ノボタン科
サンフランシスコイレシーヌ Aciotis acuminifolia ☑★
ノボタン科の半水生植物です.水中育成も可能ではありますが成長が遅く,コケがつくなどしやすいです.しかし水草ではないというわけでもなく,ゆるゆると育って30㎝程度なら水面に届きます.水上では高湿度で強健に育ち,ベゴニアやスターレンジなどと同様の管理で育てられます.実生も容易で,葉挿しや葉の断片から再生させることも可能です.
レイアウトでは成長が遅いことからなかなか使いにくいと思っていたのですが,以外とイイ!栄養系ソイルでCO2添加あり,トニナと同じようにCO2添加するとこじんまりとはしますがゆっっくりと育ちます.あまりトリミングしない水槽で入れるにはいいのではないかと思います.私の印象では,すぐ溶けてしまうこともないです.
パルダリウムの植物として非常に高い適性を持ちそうです.是非使ってほしいところですが,Nature gardenさん以外聞いたことがないです.簡単に自家受粉して実生するので,帰化には注意したいところですが幸い耐寒性はダメダメでした.一年草化しかねない気もしますが…この辺はもうちょっと気にしてみます.
アルテルナンテラ レインキー◎★ Alternanthera sp.
アルテルナンテラ レインキー パラナ産 ◎★ Alternanthera sp.
アルテルナンテラセシリス レッドグラス ◎★Alternanthera sp.
アルテルナンテラ リラキナ ◎★Alternanthera sp.
アルテルナンテラも色々怪しいと思っていますが,同定資料が不十分でそもそもレインキーが本来どんなものなのかすら把握できていません.おびただしい種数がいるはずなのに検索表が見当たらないぞ? というかレインキーに関する資料が原記載しか見当たらないぞ?帰化リスクを評価している文献などでもソースを除くとアクアリウムの水草図鑑だぞ?
マツモ科
ペルビアンホーンワート ◎☑ ★
Ceratophyllum muricatum australe
南米には少なくともC. demersumとC. muricatum australe, C. submersumがいます.このなかでC. demersumは基本的に2回分岐です.
レッドマツモ系は3回分岐以上あるためC. submersumかといわれがちなのですが,種子のとげが複数あり奇怪な形状をしているという情報を聞いたことがあり,だとしたらC. muricatum australeではないか?と思います.(C. demersumはトゲ3本,C. submersumには基本的にトゲがなかったかと.C. muricatumとC. muricatum australeにはトゲがたくさん生えてます.)
ペルビアンホーンワートは正直めったに見ないと思っていて,もう全然ないとまで思っていたのですが今年に入って何か所かで見ています.南米水草再興の風潮が微妙にあって需要が生まれたのと,やはりマツモなので増殖も速いのでしょうか.
マヤカ科
この科は同定がほぼ無理です.そもそも種の定義が怪しいです.ホシクサ科に最も近縁な科で,南米を中心に数種,アフリカに1種分布します.
サンタレンレッドマヤカ◎☑
非常に繊細な葉脈が赤いマヤカで,ラージマヤカを数分の一にしたような外観をしています.とんでもなく食害を受けやすく,相当の警戒が必要です.エビは論外,フライングフォックスの幼魚ならなんとかという感じでしょう.種にかんしてはやっぱりわからない.咲くまでわからないし,こんな種は記載されていないような気もする.とはいえ咲いてみたら普通のやつというのもまあありうる.
幸いマヤカなのでそこまでCO2要求は少なく,レースプラント専用ソイルなどでボトルアクア的に管理できるようです.水替えさぼって青水にはなっちゃってますが,アオミドロなどにはまだ悩まされていません.非常に綺麗な水草ですが,美しさを楽しむためにはどれだけデンジャラスな増殖を繰り返さねばならないのか…これの茂みを作るのは夢です.かなえたい夢です.
スレンダーマヤカ◎
謎の植物です.こんなものは記載されていませんが,花はしっかりマヤカだったという話もあるようですね.ラージミリオフィロイデス,ブラジリアンヒドロトリケ,南米産グリーンステラータに並ぶ,マジで謎草案件です.入荷は2021年にも台湾から逆輸入がありましたが,状態は良くありませんでした.恐らく誰かが持っていると思いますが...国内増殖品が回ることを望みます.
ラージマヤカ☑
Mayaca sellowianaとして流通してますね.Mayaca longipes的な何かだと思いますがどうなんでしょう.咲かせないことにゃあわからない,咲いたってよくわからない,そもそも咲かない…泣
レイアウトに関して,輸入品がたくさん入ってますが,着状態が悪く立て直しに苦労します.できれば国内で養生された個体を買いたいところですが,
誰も育てていないのである…!
という感じです.レイアウトにも使われないし,輸入が終わったら絶えてしまうかもしれません.でも素晴らしい水草ですよ.低pHを保てばCO2要求は少なく,慣れさえすれば水道水にピート漬けて浅く水を張り,そこに放り込むだけで育つ頑丈な草です.
しかも,しかもですよ?アマゾンの現地写真にとてもよく出没するのです.カージナルテトラとか.ネグロでもパンタナルでも出没しています.これはもうアマゾン水槽を作るにあたって欠かせない逸品じゃないでしょうか?
というわけで使ってやってください.増殖力は高いので,ストック水槽で増やしてカラシン水槽に食われる前提で金魚藻的に放り込む運用もいいかもです.さらにさらに,サイアミーズフライングフォックスやエビにそこまで食われないのもいいところなのですよ.
マヤカ Mayaca fluviatilis☑
花を確認,花柄がないのでM. fluviatilisとして怒られないでしょう.ひとまず.
最も美しい水草の一つです.「ヤマトヌマエビに食われる」,「頂芽の向きが揃わない」「魚に食われる」ことによって不遇な扱いを受けていますが,ヤマトヌマエビに関しては使わなければいいし,トゲナシヌマエビや”ミナミヌマエビ”,フライングフォックスなどに変更して,かつ密植してうまく入れないようにすれば問題ないです.浅い水深ではCO2添加しなくてもある程度育つのもいいポイントですね.頂芽の向きに関しては正直気にしなくてもよいのでは感が.魚は…私は水草水槽にコケとり以外の魚を入れないのでそこまで被害を食らったことはないですね.
アッ…(アクアリストにとって水草は所詮,熱帯魚のオマケですからね...)
安いので餌目的を兼ねて金魚藻扱い…が現実的なというかリアルな消費なんでしょうね...
ドワーフとはいいますが,○○レッドマヤカよりはだいぶ大型です.葉幅はマヤカと同程度で,葉長さが寸詰まりになっています.つまりわりとガッチリした水草です.栽培は無印ほどではないものの容易です.無印の矮性品という印象を受けます.
パラグアイレッドマヤカ◎☑
葉先が丸く輪生数が少ないことで異なった印象を受けます.正直モノはわかりません.割と食害にも耐えそうな気はしますが,怖いのでまずはボトルで養生中です.
ベレンラージマヤカ*(アクアプランツ2021号より)ベレンカールリーフマヤカ
→現存している可能性がまだあるようだ.
不明のM. sellowianaもしくはM. longipes ☑
→入手成功.これから育てる.ただのラージマヤカではない何者か.ベレンラージマヤカ?
エイクホルニア アズレア ◎
エイクホルニア サンフランシスコ ☑
エイクホルニア ディバーシフォリア ☑
エイクホルニア マットグロッソ◎
エイクホルニア パンタナル ◎
エイクホルニア マナウス ◎
エイクホルニア ローライマ◎
各種いますがアズレアとディバーシフォリアの変異が多そう?です.ヘテロスペルマに関しては水上化させたときの形が違うとされますが,好き好んでエイクホルニアを水上化させている人が少なく情報が不足です.
ヘテランテラ Heteranthera zosterifolia☑
ヘテランテラ ゴイアス産 Heteranthera zosterifolia◎
ヘテランテラ パラグアイ産 Heteranthera zosterifolia〇
Rootsさんのところで種子から復活し流通があります.
ヒドロトリックス ガードネリー Heteranthera gardneri○
Rootsさんのところで種子から復活し流通があります.
ヘテランテラ属に関しては割とシンプルですね.
*ポンテデリアコルダータ 〇
アマゾン流域で主にみられるのは花以外ほぼ見た目が同じポンテデリア・パルビフローラ.ただコルダータも分布してます.
ミソハギ科
アラグアイアレッドクロスプラント Cuphea cf. anagalloidea 1 ☑
花は赤色で,水中葉は細長いタイプ.燃えるような赤色が美しく水上栽培も容易であるためよく流通している.水上で楽しむべき水草だと個人的には思っていて,赤い派手な花をよく咲かせる.水槽栽培はいまいち癖があるし,長くきれいに伸びた写真を見たことがあまりない….
アラグアイアレッドロタラ Cuphea cf. anagalloidea 2 ☑
花は白色で,水中葉は丸いタイプ.水上葉でレッドクロスとレッドロタラの区別はほぼ不可能で,両者の水上葉は湿度や条件により大きく形状が変わるものの変化パターンも同じ印象.沈めるのが一番手っ取り早い分け方だと思います.
この両者が同じ種なのか別種なのか,正直わかりません...C. anagalloideaなのはどちらか?それとも,どちらもそうなのか?気になります.
アラグアイアミズマツバ Rotala mexicana◎
直立する,一見ロトンジフォリアを思わせるミズマツバ.ミズマツバは地球の裏側に行ってもミズマツバですが,当然変異は多いです.ミズマツバは頑なに一年草だったり,すぐいじけたりしやすいのですがこれはたまたま多年草傾向が強く長持ちしている模様.ぱっと見の印象が似ているロトンジフォリア系(星の数ほどある色違い対性ロタラ)に押されてレイアウトに使っている人はあまり聞かないのですが,「南米モチーフの水槽なら南米の水草でそろえるべきじゃないですか?」と思う人は是非….
日本のミズマツバも水深のある理想的な環境ならアラグアイア並みに大型化します.しかしやっても一年草なのでそのうち種付けて枯れます.質の悪いことに水中でも閉鎖結実して枯れます...そんな中もう30年くらい流通しているアラグアイアは凄いのです.
匍匐するミズマツバ.レッドではないゴイアスドワーフロタラを聞いたことがないですし,最初はゴイアスドワーフロタラと呼ばれていたという話も聞きますね.アラグアイア以上の優等生で,もはやめったに咲きません.多年草ですし.肥料をドカ食いするので,栄養系ソイルでも肥料がガッツリあるアマゾニアやミネラルソイルがいいと思います.
レイアウトについて,前景草としての適性…というかレイアウトセンス的に極めて使いにくいのですが(「赤いムカデが這いまわるかのような」と名指しで揶揄されるほど),枝垂れる性質から流木などを下降させればよいものが出来そうな気がします.さらに密生させたり,周囲が高いと斜め上にも伸びます.つまり敢えて中景や小型水槽の後景がいい気がします.
ところで,浅ければCO2添加を必要としません.最近はやりのミニチュアアクアリウムにも使えそうです.
アルアナの夕焼け Rotala ramosior ◎
関東近辺で猛威を振るっているアイツとは,同種ですが似て非なるものです.ミズマツバでわかるように,すごく変異が大きいので別タイプだと思います(アイツはあまり赤くならないし).
実をいうと自分で育てたことがないので何とも言えませんが,クフェアの水中版と同じような感じなのではないでしょうか?前景のワンポイントというか.
†アマニアの一種 サンフランシスコ川産 Ammannia sp.
ナンゴクヒメミソハギ的なもの.南北アメリカが本拠地なので,現地便のナンゴクヒメミソハギなのかなという気もしますね.
†ブラジリアンクリナム
クリナム プルプラケンス〇
アクアルートでプルプラケンスといったら南米のものを指すという伝統的な間違いによるもの.Rootsさんのところにあり.アクアリウムの人がプルプラケンスと呼んだのなら南米ではないか.C. elbescensだと思うよ.確かめてないけど.
ホシクサ科
トニナspベレン☑
トニナspマデイラ☑
トニナspラーゴグランデ◎
トニナspウアウペス【匍匐タイプ】〇
トニナspスレンダーリーフ マナウス 〇
トニナspリオネグロ 〇
トニナspサンガブリエル 〇
トニナspベレン2013 (?)
トニナsp斑入り 〇
Syngonanthus anomalusです.
スターレンジ サンガブリエル ◎
スターレンジ ジュルア ☑
スターレンジ サンフランシスコ☑
スターレンジ イキトス〇
他多数
Paepalanthus(Tonina) fluviatilisです.
ケヤリソウ☑
サンベネジットのケヤリ☑
デカケヤリ☑
Eriocaulon setaceum(広義)です.細分化されつつありますがアクアルートのケヤリにしっくりくる名前はなさそう→E. ybaに対応するとしてよさそうと思う
ボリビアンスター
ミナス2010 ☑
ラジェアド◎
バナナII◎
他多数
Syngonanthus caulescensだと思います.
ホシクサspペドラ(細長い方)☑
ホシクサspオンダスII 〇
この辺りはSyngonanthus appressusとかのたぐいなのかなあ,しょうじきわかりません.
ゴイアススタープラント☑
ゴイアスヴェリオ〇
ホシクサspイタウス☑
バイヤスター ☑ Eriocaulon kulumi ホシクサspバイヤとも.
Eriocaulon modestum(広義)です.現在細分化されつつあり,それぞれにしっくりくる名前もついてきています.
ミナススター Eriocaulon spruceanum☑ 別産地:ホシクサspサンフランシスコII
でっかくてかっこよくてよい草.
マットグロッソスター 〇
Eriocaulon aquatileだと思います.
パエパランツス トーティリス Paepalanthus tortilis 〇
湿生植物です.橋本園芸亡き今,どこに残るのか…
シンゴナンサス クリサンサス Syngonanthus chrysanthus☑
湿生植物です.